Spotifyは、マルコム・トッドのヒット曲「Earrings」が同プラットフォームの米国デイリーチャートで1位に浮上したことが、予測市場「Kalshi」での賭けと関連していたことが判明したことを受け、同曲の登録再生回数50万回以上を削除した。なお、トッドのチームは操作に一切関与していない。フィナンシャル・タイムズ(FT)などが伝えた。

Kalshiは、米商品先物取引委員会(CFTC)の認可を受けている米国の予測市場で、ユーザーは将来の出来事(ある月に米国のSpotifyで最も多く再生される曲など)に対して金銭を賭けることができる。これにより、トレーダーが自身の選んだ曲を1位に押し上げるために人為的な再生回数を買い付け、利益を得ようとする可能性がある。

Kalshiなどで6月のSpotify米国チャートで1位を獲得するアーティストを予想する賭けが行われ、土壇場での急上昇(28日から29日にかけて再生回数が70%急増)により「Earrings」が首位に躍り出たことで疑念が生まれた。トレーダーたちの声を受けてSpotifyが調査したところ「再生数の不正操作」を確認。人為的なものと判断された50万回超の再生回数が削減されると、同曲は4位に後退した。

Kalshiは、不正操作が確認される前に、既にトレーダーに配当を支払っていた。この「賭け」には、約300万ドル(約4億8,600万円)の取引が集まっていたという。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「賭けに使われたSpotifyチャートで、不審な曲が急上昇して削除対象に——。米国には、Spotifyの再生ランキングで「どの曲が1位か」に金銭を賭けられる予測市場「Kalshi」がある。将来の出来事に賭けるサービスだ。今回、ある曲が1日で再生数を70%伸ばして突然1位に立ったが、Spotifyが調べると不正操作が判明し、50万回超を削除、曲は4位に戻った。

ここで改めて浮き彫りになったのは、再生数がダークウェブやTelegram、Discordで依頼を出せば、AIボットで水増しできる現実だ。たとえば「5ドルで1,000再生」といった価格で、人間を装う自動プログラムが検知をかいくぐり再生を積み上げる。賭けの賞金がかかれば、こうした操作の動機が生まれる。なお当該アーティストは操作に関与していない。チャートの数字に外部の金銭が絡む時代の課題が見えてくる。」