テクノロジー企業がエンターテインメント・メディア分野への進出を加速するにつれ、従来のメディア企業は生き残りをかけた巨額取引を模索。米エンターテインメント誌「ザ・ハリウッド・リポーター(THR)」は、フォックスによるRokuの買収、パラマウントによるワーナー・ブラザース・ディスカバリー(WBD)の取得には、こうした背景があると指摘する。

米メディア大手フォックスは6月15日、動画配信プラットフォーム「Roku」を約220億ドル(約3兆5,600億円)で買収すると発表。Rokuは、ストリーミングのサービスやデバイス、テレビ用OS(オペレーティングシステム)を手がける企業だ。

Rokuのインターフェースは、北米のテレビの3分の1以上、米国のブロードバンド利用世帯の半数に搭載されており、事実上、テレビへの入り口となっている。フォックスはRokuを陣営に加えることで、YouTube、Netflixといったストリーミング大手との関係も一変。比較的少量のオリジナルコンテンツと、膨大な広告規模、そしてプラットフォームでの支配力を組み合わせることで、思わぬ展開につながる可能性がある。

パラマウント・スカイダンスは、WBDの買収(取引額1,100億ドル)が完了すれば、Netflixやウォルト・ディズニーに匹敵する規模のエンターテインメント企業となる。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「フォックスのRoku(ロク)買収は、「テレビへの入り口」を押さえる戦略の表れだ。約220億ドル(約3兆5,600億円)を投じるこの買収で注目すべきは、Rokuが北米のテレビの3分の1以上に搭載されたOS(基本ソフト)を持つ点だ。
視聴者がNetflixやYouTubeを開くとき、多くはRokuの画面を経由する。いわば、あらゆる配信サービスが並ぶ「玄関」を運営する立場にある。コンテンツ会社のフォックスがこの玄関を手にすれば、自社作品を目立つ位置に置いたり、視聴データを広告に生かしたりと、競争の主導権を握れる。
豊富なコンテンツと、入り口の支配力、膨大な広告規模を組み合わせれば、NetflixやYouTubeとの関係も一変しうる。派手なコンテンツ競争の裏で、「誰が視聴者の入り口を握るか」という、もう一つの競争が進んでいることが見えてくる。」