大手映画スタジオが没入感のある大画面体験を通じて観客を映画館に呼び戻そうとしている中、カナダの映像技術企業IMAXが複数の潜在的な買い手と身売りを交渉しているようだ。情報筋の話を元に、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が5月21日伝えた。

IMAXの売却交渉は初期段階で最終的には取引に至らない可能性もあるという。報道を受け、同社株価は一時11%上昇した。IMAXは報道について、コメントを控えている。

IMAXは、2026年第1四半期(1〜3月)の売上高および純利益が市場予測を上回り、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』や『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』などのヒット作により好調を維持している。今年の世界興行収入は過去最高の14億ドル(約2,225億円)を見込む。

IMAXシアターは北米のスクリーン全体のわずか1%を占めるに過ぎないが、昨年は『罪人たち』や『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』といった主要作品の公開初週末興行収入の2割近くを確保したという。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「たった1%のスクリーンが、興行収入の20%を支える──IMAXの存在感が、いまの映画産業で異様に高まっている。北米のスクリーン全体のわずか1%を占めるに過ぎないIMAXシアターが、『罪人たち』『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』など主要作品の公開初週末興行収入の2割近くを確保している。2026年の世界興行収入見込みは過去最高の14億ドル(約2,225億円)。観客が「映画館に行ってまで観たい体験」を選別する時代に、大画面・大音響・没入感という差別化を持つIMAXは、映画館経済の中で異例の集中砲火を浴びている。報じられた身売り交渉も、こうした絶頂期だからこそ価値を最大化できるタイミングを狙ったものに見える。「プレミアム劇場体験」が、配信時代の映画産業の主戦場に再浮上した印象だ。」