米市場調査会社センサータワーによると、インドのモバイルアプリ市場におけるアプリ内課金(IAP)売上高は、2026年第1四半期(1〜3月)に過去最高の3億ドル以上(約479億円)を記録した。前年同期比から33%拡大。ただ、その支出の多くはグローバルなプラットフォームに流れている。

非ゲームアプリが44%増の2億ドル超で、売り上げ全体に占める割合が拡大。ユーティリティーや動画ストリーミング、生成AIなどのカテゴリーが伸びをけん引した。

アプリ別の売上ランキングを見ると、Google One、Facebook、ChatGPT、YouTubeなどグローバルプラットフォームが上位を独占。動画ストリーミング分野では国内企業がより目立ち、JioHotstarやSony LIVが高い順位につけた。ダウンロード数においても同様の傾向がみられ、ChatGPT、Instagram、中国のショートドラマアプリ「FreeReels」のトップ3に、Story TV、JioHotstar、Meeshoなどのインド製アプリが続いた。

同国のIAP売上高は、2021年の5億2,000万ドルから2025年には10億ドルを超え、今年は12億5,000万ドルに達する見通し。ダウンロード数は年間約250億件でほぼ横ばいとなっている一方、アプリの利用時間は拡大を続けており、ユーザーのエンゲージメントが深まり、デジタルサービスへの支払い意欲が高まっていることを示唆している。ただ、ダウンロード1件当たりの収益は約0.03ドルと、東南アジアや南米(0.20ドル超)を大きく下回る。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「インドのアプリ内課金売上が過去最高の3億ドル(約479億円)に達し、年間12億5,000万ドルへの成長軌道に乗った。牽引役は動画ストリーミング、ユーティリティー、そして生成AI——ChatGPTがダウンロードランキングのトップに入るという事実は、インドのデジタル消費が「エンタメ消費」から「生産性ツールへの課金」へと広がりつつあることを示している。

ダウンロード数が年間250億件で横ばいなのに売上が伸びているのは、ユーザーのエンゲージメントが深まり「無料で使う」から「お金を払って使う」への転換が進んでいるからだ。ただしダウンロード1件あたりの収益は0.03ドルと東南アジア・南米を大幅に下回り、「量の市場」から「価値の市場」への移行はまだ途上だ。

WBDが月額49ルピー(約83円)でインド参入し、Netflixが149ルピー(約250円)の低価格プランを維持する——グローバルプラットフォームが「まず安く入って、成熟したら価格を上げる」という戦略を取る中、インドの消費者がいつ「適正価格」を受け入れるかが次の転換点だ。」