米AI新興企業アンソロピックは4月20日、音楽出版社グループが提起した著作権訴訟を巡り、米カリフォルニア州連邦地方裁判所に略式判決の申し立てを正式に提出。歌詞を「フェアユース(公正利用)」として使用したと主張し、同社に有利な判決を下すよう求めた。
同社は提出書類の中で、自社のAIトレーニングは歌詞を「変容的な」形で利用しており、その目的は「Claudeが人間の言語を理解できるようにし、科学、ビジネス、教育分野における進歩と生産性を促進すること」にあると説明。Claudeは「著作権法が単に容認するだけでなく、奨励しているような新しいアイデア」であり、「著作権者にこのような変容的な技術に対する拒否権を与えることは、著作権の主たる目的は著者を報いることではなく、公衆に奉仕することであるという最高裁判所の指針を無視することになる」としている。
音楽出版社側も同様に略式判決を求めており、3月にはClaudeが歌詞から派生作品を生成し、それが「市場と競合し、市場を希薄化させる」として、アントロピックのAI訓練がフェアユースに該当しないと強調した。
ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)およびアブコ(ABKCO)ミュージック&レコーズ、コンコード・ミュージック・グループは2023年、アンソロピックが少なくとも500曲の歌詞を基に、Claudeを訓練したとして提訴した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「「AIトレーニングに使った歌詞はフェアユースだ」——アンソロピックのこの主張が通るかどうかは、AI産業全体の存立基盤に関わる。
歌詞だけでなく、小説・論文・ニュース記事・コードも同じロジックで学習されてきた。フェアユースが認められれば、AIは人類の知的資産を「公益のため」に自由に学習できる。
認められなければ、AIモデルのトレーニングには権利者との個別ライセンスが必要になる——その場合のコストと手続きの複雑さは、AI開発のハードルを根本から変える。
音楽出版社側が「市場の希薄化」を主張するのは正確で、Claudeが歌詞に似た文章を生成すれば歌詞のライセンス市場を侵食しうる。SunoとUMG・ソニーが「アプリ外での共有・配信」を争点に交渉する文脈と、この訴訟は地続きだ。
「変容的利用」という概念が、AIという新しい技術にどこまで適用されるか——カリフォルニア州連邦地裁が示す答えが、業界の次の一手を決める。」














