YouTubeのAIを全面に押し出した戦略が大きな批判を浴びる中、米国の動画投稿者の大半がAIに対して肯定的な態度を示し、中には創造的に活用する方法を見いだすユーザーもいるーー。
YouTubeが10月20日に公表した最新の「カルチャー&トレンド」レポートでこうした実態が明らかとなった。
調査は、過去12カ月間に動画コンテンツをアップロードした米国在住者694人(14〜44歳)を対象に実施。回答者の72%が動画や画像にAIを利用しており、61%はAIを使って自分の肖像をコンテンツに挿入することに興味があると答えた。
YouTubeは、この要望を生成AIツールの前向きな活用事例として強調。報告書では「若い頃の自分を抱きしめる」といったコンセプトが挙げられており、クリエイターが過去の自分を再現し、その分身と交流する様子が紹介されている。
同社は「一部のAI実験者にとって、この技術は自身のアイデンティティのさまざまな側面と戯れ、もう一人の自分を想像するための手段となっている」と指摘。AIを使って複雑な感情を可視化することで、人々は入り組んだ感情を、他者が共感できるカタルシスをもたらすイメージへと変えていると分析した。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「AIスロップ(粗製乱造されたAIコンテンツ)への批判が渦巻くなか、実際に動画を投稿する側の72%がすでにAIを使っているという数字は、論争の構図を考え直させる。SNSで目立つのは反AIの声だが、現場のクリエイターにとってAIは、サムネイル作成や編集補助から表現そのものまで、静かに道具箱へ入り込んでいるわけだ。この乖離は、かつてDTM、サンプリング、Auto-Tuneが「音楽の破壊」と非難されながら制作の標準になっていった経緯とも重なる。もっとも、この調査はAI戦略を推し進めるYouTube自身によるもので、対象も米国の投稿経験者694人と限定的。数字は割り引いて読む必要がある。それでも「批判の声」と「使う手」が別々に動いているという実態は、日本のクリエイター界隈にも当てはまるはずで、論争の行方は言説よりも現場の使われ方が決めていくのかもしれない。」














