サンリオが2026年に立ち上げた新ゲームブランド「Sanrio Games」の初スマートフォン向けタイトル『Sanrio Kawaii Me Live!』が、2027年に配信されることが発表された。

本作はサンリオキャラクターの楽曲を楽しめるダンス&リズムゲームで、衣装の着せ替えやライブステージのカスタマイズ機能を備える。誰でも手軽に遊べる「パフォーマンスモード」と、やり込み要素のある「テクニカルモード」の二本立てにより、カジュアル層からコア層まで幅広いユーザーの取り込みを狙う設計となっている。

この発表の本質は、サンリオがゲームを自社のIP戦略における重要な接点として位置付けた点にある。同社はこれまでグッズやアパレル、テーマパークなどキャラクターライセンス事業を中心に成長してきた企業であり、ゲーム分野では外部企業との提携による展開が主流で、自社ブランドとして本格運営する動きは限定的だった。

しかし近年、キャラクター企業を取り巻く環境は変化している。ファンとの接点はリアルイベントや商品販売に限らず、動画配信やSNS、バーチャルイベントなどデジタル空間へと拡大し続けており、ユーザーは日常的にIPへ触れるようになった。こうした流れのなかでゲームは単なるエンターテインメントの一形態ではなく、ファンコミュニティを形成し継続的な接点を生み出すプラットフォームとしての存在感を増している。

3年間で約10本の新作ゲームを提供予定

サンリオは「Sanrio Games」設立に際し、今後3年間で約10タイトルを展開する方針を示しており、本作はスマホ向け第一弾として位置付けられる。この動きは『アイドルマスター』シリーズ、『ラブライブ!』シリーズ、『プロジェクトセカイ』など、音楽・キャラクター・コミュニティ形成を組み合わせて長期運営型コンテンツとして成功してきた国内市場の潮流とも重なる。リズムゲームというジャンル選択も、サンリオが展開してきたキャラクター楽曲群との連動を意識したものであり、ゲーム体験と音楽コンテンツを結び付けることで新たなファン接点を創出する狙いがあると考えられる。

もっとも、スマートフォンゲーム市場は成熟期を迎えており、新規タイトルの競争は激化の一途をたどる。人気IPを保有していることだけでは継続的な成功は保証されず、運営体制やアップデートの継続性、コミュニティマネジメントの巧拙が長期的な評価を左右することになる。

一方で、自社運営には大きな利点も存在する。ユーザーとの接点を自ら設計できるだけでなく、グッズ販売やリアルイベント、テーマパーク事業など既存事業との連携を強化できる点だ。ライセンス供給企業からIP運営企業への転換を図るうえで、ゲームは極めて重要な役割を果たすことになる。

世界的にも、知的財産を保有する企業がゲームを単なる収益源ではなく、IP体験を継続的に提供するインフラとして位置付ける事例が増えている。その意味で『Sanrio Kawaii Me Live!』は、新作スマホゲームの誕生という以上に、キャラクタービジネスの競争軸が変化していることを示す象徴的な事例だといえる。