公開初週末における世界興行収入が今年最高の1億4,090万ドル(約224億7,000万円)を叩き出した映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。原作小説を手がけたアンディ・ウィアーは、興行収入6億ドル以上を記録した映画『オデッセイ』(2015)の原作者としても知られる。

作品の映像化で成功を収めているウィアーだが、新しい小説を書き始める際は「映画化のことは一切考えないようにしている」という。IT系メディア「The Verge」が3月23日伝えた。

ウィアーによれば、その理由は、この2つのメディアがあまりにも異なるからだという。「映画を書きたいのなら、脚本を書けばいい。でも、本を書きたいのなら、本を書くべきだ。読者があなたの本を読んでいる間の体験に集中すべきで、映画としてどう映えるかといったことで、自分自身を制限してはいけない。本でできることは映画ではできないことが多く、その逆もまた然り。だから、本というはるかに広い表現の場と、言葉が持つ柔軟性を活かすべきで、そうしたツールを全て活用するんだ」

『オデッセイ』と『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の両方で脚本を担当したドリュー・ゴダードは、壮大なコンセプトこそが、ウィアーの作品を映画としてこれほど成功させている要因だと考えている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「大ヒット中の映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』の原作者アンディ・ウィアーが、小説を書く際に「映画化のことは一切考えない」と語っている。その理由はシンプルだ。「映画としてどう映えるか」を考えながら小説を書くことは、言葉の可能性をあらかじめ削ることに等しいからだという。

小説でできることは映画では再現できないことが多く、その逆もまた然り——ウィアーはそう明言する。

興行収入6億ドルを超えた『オデッセイ』も、今年最高の初週末成績を叩き出した本作も、映像化を意識せずに書かれた小説が原作だ。それぞれのメディアに徹底的に向き合うことが、結果としてメディアを超えた作品の力を生む。エンターテインメントの本質を改めて考えさせてくれる言葉だ。」