元グーグル社員が立ち上げたAI新興企業OpenArtは6月23日、同社が「バイブ・ディレクティング」と呼ぶ、新たな動画制作の手法を導入した動画生成AIツール「Director」をリリースした。

バイブ・ディレクティングとは、AIに自然言語で指示を出すことでシステムを開発する「バイブ・コーディング」を映画制作の領域に応用した概念だ。ユーザーはクリエイティブなビジョンを伝えるだけで、Directorが一貫性のある登場人物、シーン、照明、音声を備えた最大5分の映像作品を制作。ストーリーボードの作成からポストプロダクションまで網羅するワークフローを構築している。

同社はSeedanceからRunwayに至るまで、数多くのモデルを組み合わせて映像を制作しており、状況に応じて最適なモデルを選択できる上に、シンプルなユーザーインターフェースを実現。こうした使いやすさにより、初心者からプロまでの利用を見込んでいる。

OpenArtによると、同社の既存の画像・動画ツールのアクティブユーザー数は800万人。市場調査会社Sacraのデータでは、2025年に7,000万ドル(約113億2,300万円)の収益を上げている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「バイブ・コーディングから「バイブ・ディレクティング」へ。言葉で指示するだけで作れる発想が映像制作にも及び、映像づくりの「民主化」がまた一歩進んだ。元グーグル社員が立ち上げたOpenArtの新ツール「Director」は、物語を言葉で伝えるだけで、登場人物・シーン・照明・音声まで一貫した最大5分の映像を作れるという。
ストーリーボードづくりからポストプロダクションまでを一つのワークフローでカバーし、初心者からプロまでの利用を見込む。かつて映像制作には、専門の機材やソフト、チームと予算が不可欠だった。それが、思い描いたビジョンを言葉にできれば形になる時代へと近づいている。
先にマイクロドラマ(スマホ向け縦型・短尺ドラマ)が制作コストを大きく下げたように、AIは映像づくりの裾野を急速に広げている。一方で、誰もが作れるようになるほど、何を語るかという中身の価値が際立ってくる。道具が手軽になった先で問われるのは、結局のところ作り手の発想だといえそうだ。」