今週末5月31日で終わる新宿中央公園の大規模ライトアップ・イベント、「TOKYO LIGTHTS」へ行ってきた。
都庁の裏、新宿中央公園に着いたのは薄暮の頃。空が群青に変わるころ、公園の輪郭そのものが滲むように発光しはじめた。光の祭典「TOKYO LIGHTS 2026」(5月23日〜31日、入場無料)——メディアツアーで歩いた「Light Art Park」の、第一印象である。今年から会場を明治神宮外苑から西新宿エリア(都庁第一本庁舎・都民広場と新宿中央公園)へ移しての初開催で、テーマは”見えない東京”を光で可視化する「Visible TOKYO」。Light Art Parkの総合演出は、2025年大阪・関西万博の催事企画プロデューサーとして来場2,902万人の祭典を統括した小橋賢児氏だ。
紙の花で描く、東京の個性
冒頭の写真は、MEGU氏(PETAL Design)の『TOKYO百花繚乱』。東京の多様な個性を、見上げるほどの巨大な紙の花に見立てた光のインスタレーションだ。デジタル全盛のなかで紙という極めてアナログな素材を主役に据えた選択がむしろ新鮮で、夜風にかすかに揺れる花弁の質感が、周囲のテック寄りな光彫刻と対照的な詩情を湛えていた。
芝生広場に浮かぶ、NASAの地球 今回の目玉作品

ガイドが「今回の目玉」と紹介してくれたのが、英国アーティスト、ルーク・ジェラム氏の『GAIA』。直径約7m、NASA提供の120dpi高精細地表データを基に制作された日本初上陸作品で、芝生広場の上に静かに浮かぶ巨大な地球が、暗くなった公園のなかでひときわ強い存在感を放っていた。寝転んで眺める人、子の肩を抱いて指差す人。スマホで切り取るより、まず見入ってしまう力がある。宇宙飛行士の語る「オーバービュー・エフェクト」を、芝生の上から疑似体験するような感覚だった。
大阪・関西万博から東京の夜へ 繭のなかで体験する地球の循環

美術家・奥中章人氏の『INTER-WORLD/Cocooner: Apparent motion of celestial bodies』は、2025年大阪・関西万博の公式プログラム「Study:大阪関西国際芸術祭2025」で184日間にわたって展示された万博レガシー作品である。輝くフィルムで覆われた繭状のインスタレーションで、靴を脱いで内部に入ると、空気を含んだ柔らかなクッションが身体を包み込む。外の喧騒がふっと遠のき、光と空間に包まれていくと、空気・水・太陽という地球をめぐる目に見えない循環が、ゆっくり身体感覚に置き換わっていく——鑑賞者が”見る”のではなく、内側に入って完成する、感覚体験型の作品である。万博会場で生まれた体験が都市の公園へ場所を移して息づくこと自体が、「Visible TOKYO」というテーマと静かに重なって見えてくる。
週末の式典と、夜の経済への示唆
都庁第一本庁舎側では、世界65の国・地域から412組が応募したプロジェクションマッピング国際大会「1minute Projection Mapping Competition」(総合プロデューサー:石多未知行氏)も並行開催中。今週末は5月30日(土)19:15〜20:50に作品上映・表彰式、5月31日(日)19:20〜20:10にGrand Finale(公式アンバサダー土屋太鳳さんらによる特別トークステージ)が予定されている。観覧無料・事前申込制。Light Art Parkは申込不要、各日19:00〜22:00。
東京は世界都市ランキング総合3位ながら、ナイトライフ充実度では30位と伸びしろが大きく、東京都も「ナイトタイム観光」を重点政策に据えている。万博を統括した演出家が都心の公園を編集し直し、高精細な地球データと紙の花、そして万博レガシーの繭が同じ夜空の下に並ぶ——博覧会で磨かれた体験設計を、都市の日常空間へ転用していく週末になりそうだ。
公式サイト:https://tokyolights.jp/














