サンリオは10月29日、自社ゲームブランド「Sanrio Games」の第1作『サンリオ パーティランド』を世界同時発売した。対応機種はNintendo Switch/Nintendo Switch 2で、価格はパッケージ版・ダウンロード版とも6,380円(税込)。145以上のサンリオキャラクターが登場し、45種類以上のミニゲームやボードゲームを最大4人で遊べるパーティゲームだ。
ライセンスと並走する「自社パブリッシング」
これまでサンリオキャラクターのゲームは、他社に使用権を貸し出すライセンス方式で作られてきた。2023年にApple Arcadeで配信された『Hello Kitty Island Adventure』も、開発・販売は米Sunblinkが担っている。
Sanrio Gamesでは、サンリオ自身が投資し、企画からパブリッシングまでを手がける。同社は4月の発表時、2029年3月までの3年間で10本程度をリリースする計画を示した。2作目となるスマートフォン向けリズムゲーム『Sanrio Kawaii Me Live!』も2027年に配信予定だ。ライセンスによるゲーム展開も継続・拡大する方針で、自社パブリッシングはそれと並ぶもう一本の軸となる。
ただし、開発まで内製するわけではない。常務執行役員の濵﨑公輔氏は、社内にエンジニアを置かず外部の開発会社と組む方針を説明している。社内には企画・プロデュースを担うディレクターやマーケターを揃える。また欧米では『HELLO KITTY PARTY LAND』のタイトルで、バンダイナムコエンターテインメントが販売を担う。何を作るかはサンリオが決め、開発や欧米での販売はパートナーに任せる分業体制だ。
ゲームを「入口」にする狙い
そして、目的はゲーム単体の売上にとどまらない。サンリオは2035年に時価総額5兆円を目指す長期ビジョンを掲げ、「グローバルIPプラットフォーマー」への進化をうたう。ゲームはその「サンリオへの入口」の一つと位置づけられている。プレイ時間の長いゲームを通じて、ファンがキャラクターに触れる時間を増やそうというわけだ。
会員サービス「Sanrio+」や店舗、テーマパークとゲームを連動させる構想も掲げる。実際、サンリオショップ・サンリオオンラインショップ限定セット(11,000円)には、ゲーム内で限定衣装のキャラクターを入手できるNFC機能付きカードが同梱される。サンリオは世界観を深く反映した体験設計を自社パブリッシングの利点に挙げており、物販とゲームをつなぐこの仕掛けはその一例だ。
Xboxとは逆向きの動き
その一方、ゲーム会社の側では逆向きの動きが進む。たとえば弊誌でも取り上げたように、マイクロソフトのXboxは10月8日、ゲームIPの映像化やグッズ、テーマパークなどを担う新部門「XP」を設立した。米Puckは、NetflixがXboxのIPについて7年間の映画・ドラマ化の独占権に5億ドルを提示し、Xbox側が8億ドルを求めた結果、交渉がまとまらなかったと報じている。
Xboxはゲームで育てたIPを外部のパートナーに託し、ゲームの外側でファンとの接点を増やそうとしている。サンリオはグッズやテーマパークで育てたIPを、自らゲームへ持ち込む。出発点は正反対だが、IPに触れる時間を増やしたいという目的は共通している。
ディズニーの撤退例と100億円の目標
また、自社パブリッシングには撤退例もある。ディズニーは2016年、『ディズニーインフィニティ』の終了とともに家庭用ゲーム機向けの自社パブリッシングから撤退し、ライセンス方式に一本化した。トイ・トゥ・ライフ市場の伸び悩みと開発費の高さが理由だった。自社で売れば、損失も自社で負う。
日本経済新聞などの報道によれば、サンリオは中長期的にゲーム事業を売上高100億円規模に育てる考えだ。キャラクターの魅力を、ゲームならではの体験にどこまで落とし込めるか。第1作の売れ行きと続く作品のラインアップがその答えを示すだろう。














