TuneCoreを傘下に持つ音楽ディストリビューター最大手のBelieve(フランス)は9月8日、音楽生成AI「Suno」と戦略的提携を結んだと発表した。
Believeは4月、Sunoを含めたライセンスを得ていないプラットフォームで制作された楽曲の配信を自動的にブロックし始めたが「ここ数カ月間でアーティストのために達成された進展を反映して」方針を転換したとしている。
同契約に基づき、参加に同意したBelieveおよびTunecoreに所属するアーティストやレーベルの楽曲が、Sunoが音楽業界と提携して立ち上げる新たな音楽モデルに組み込まれる。参加アーティストは、自身の音楽に対して報酬を受け取れるほか、Sunoの権利保護措置や透明性確保のためのツール、ダウンロード制限の恩恵を受けることになる。
さらに、Sunoの新たな音楽モデルを利用して制作された全楽曲は、BelieveおよびTuneCoreを通じて配信可能となる。
Sunoとライセンス契約を結んだ企業は、ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)とBMGに続いて、Believeが3社目。依然として、ユニバーサル ミュージック グループ(UMG)とソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)など複数の相手との訴訟を抱えている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「音楽の世界で、劇的な方針転換が起きた。個人の音楽家でも数千円で世界中の配信サービスに曲を出せる、そんな仕組みを作り「音楽の民主化」を担ってきたのが、TuneCoreを傘下に持つ仏Believeである。同社は4月、権利者の許諾なく学習した音楽AIを「海賊スタジオ」と呼び、AI「Suno」製の楽曲の配信を自動ブロックし始めた。それから4カ月余りで、そのSunoと提携したのだ。変節に見えるが、理屈は通っている。提携の対象は、Sunoがこれから業界と組んで出す「新モデル」に限られる。参加を自ら選んだアーティストの楽曲だけを学習に使い、報酬を払い、権利保護と透明性の道具を備える。つまりBelieveが拒んだのは「無断学習の旧世界」であり、握手したのは「許諾と対価の新世界」ということだ。ワーナー、BMGに続く3社目の契約で、AI音楽の土俵は係争と公認の二層に分かれてきた。旧世界の裁判は続くが、新世界の骨組みは、着々と形になっている。」














