9月7日の東京株式市場で、カプコンの株価が年初来高値を更新した。年初来高値とは、その年に入ってからの最高値のことだ。前日比プラスが続く「続伸」で、前場から買いが集まった。

きっかけは、9月4日に発売された新作『鬼武者 Way of the Sword』である。国内Steamの売上ランキングで発売から4日連続の首位を維持し、市場が好スタートと受け止めた。

20年ぶりの新作が初日に100万本

さらに同日16時、取引終了後にカプコンは本作が”発売初日に全世界で100万本を突破した”と発表。「鬼武者」シリーズの累計販売本数も1,000万本に達したという。この数字が株価に織り込まれるのは翌営業日以降だ。

「鬼武者」は、2001年に第1作が登場した剣戟アクションシリーズ。第1作では俳優の金城武を主人公・明智左馬介のモデルと声に起用するなど、実在の俳優を前面に出す演出で知られてきた。本作は2006年の『新 鬼武者 DAWN OF DREAMS』以来、約20年ぶりの完全新作にあたる。

舞台は江戸時代初期の京都。宮本武蔵が異形の怪物「幻魔」と斬り結ぶ内容で、武蔵のフェイスモデルには時代劇映画で知られる三船敏郎が採用された。8月には欧州最大級のゲームイベント「gamescom award 2026」で2冠を獲得している。

カプコンは発売前から体験版配信やイベント出展を重ね、認知拡大を図ってきた。初日100万本は、その助走の結果と言えるだろう。

発売日を3週間「前倒し」した異例の判断

まず注目したいのが、『鬼武者 Way of the Sword』の発売日だ。当初は9月25日と告知されていたが、7月2日に3週間前倒しの9月4日へ変更された。

ゲーム業界では発売延期が日常茶飯事だが、前倒しは珍しい。発表当日の7月2日、カプコン株は一時8.38%高の3272円まで買われた。その後も水準を切り上げ、今回の年初来高値更新はその延長線上にある。カプコン自身は「より早く届けるため」と説明しているが、秋は大型新作が集中する時期でもあり、競合を避けたとの見方も出ている。

決算上の意味も小さくない。カプコンの決算期は3月で、7〜9月は第2四半期にあたる。9月25日発売では四半期末ぎりぎりだが、9月4日なら3週間分の販売実績を余裕をもって取り込める。

「眠っていたIP」を起こす戦略

カプコンは今回のリリースで、大型タイトルの安定投入に加え、一定期間新作が出ていないシリーズの再活性化に注力すると説明している。『鬼武者』はその典型例だ。

同社の2026年3月期は売上高1953億円、営業利益752億円。全利益項目で9期連続の最高益となった。コンシューマ販売本数も5,907万本と過去最多である。今年2月発売の『バイオハザード レクイエム』は7月時点で800万本を超え、4月投入の完全新規IP『プラグマタ』も16日間で200万本を突破。2027年には『バイオハザード RE:ベロニカ』も控える。新規IP、リメイク、休眠IPの復活を並走させ、毎年大型の弾を用意する体制ができあがっている。