NetflixがYouTubeの領域に食い込み始めて以来、NetflixはYouTubeのユーザーへのアクセスを失い続けているーー。Netflixがクリエイターの引き抜きやコンテンツの多様化に多額を投じる中、米モバイルアプリ分析企業Apptopiaの最新の調査結果から、こうした実態が明らかとなった。

Apptopiaの米国消費者の行動データに基づいた分析によると、2026年8月時点で、YouTubeユーザーのうちNetflixも利用しているのは約16%にとどまる一方、Netflixユーザーの約92%がYouTubeも利用。YouTubeユーザーによるNetflix利用の割合は、年初には今よりも高い水準にあったが、Netflixがオリジナルポッドキャストの配信を開始した1月から低下し始め、ショートフォームコンテンツの登場により、縮小傾向に拍車がかかっている。

NetflixはYouTubeトップクリエイターと相次ぎ契約を結んでいるが、この16%という割合は、これらクリエイターが、YouTubeのフォロワー数に比べて、Netflixでは構造的に少ない視聴者にしかリーチできていないことを意味する。

ただ、消費者をNetflixから引き離しているサービスは、YouTubeやその他ソーシャルメディアだけではなく、マイクロドラマ(スマートフォン向けの縦型・短尺のストーリーコンテンツ)の主要アプリとNetflixの重複利用率は、今年に入ってから前月比平均21%の成長率を示している。

アプリのトラフィックに影響を与える要因は多岐にわたるため、これらの影響は表面的に見えるほど顕著ではない可能性もある。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Netflixによる人気クリエイターの獲得攻勢を、先日この欄で紹介した。今回のApptopiaの分析は、その戦略の難所を数字で示している。YouTubeユーザーでNetflixも使う人は約16%。つまりYouTubeで数千万人のフォロワーを持つクリエイターがNetflixへ移っても、その画面に接続している元のファンは構造的に一部にとどまる、という指摘だ。ここに、タレント移籍とプラットフォーム移籍の違いがある。テレビ局間の移籍なら、視聴者はチャンネルを変えるだけで追える。だがアプリの壁は、契約と月額料金の壁だ。ファンは「その人を観るためだけ」に加入するか——答えは人気の質による。習慣で観られるクリエイターの視聴は場に根づき、熱狂で観られるスターの視聴は人に付く。引き抜きの成否は、フォロワー数ではなく、この熱の質で決まるのだろう。分析元も、トラフィックの要因は複雑で断定は禁物と付言している。ただ、「人を買えば視聴者が付いてくる」という単純な算術が成り立たないことは、確かなようで、本当にむずかしい」