帝国データバンクが8月8日に公表した調査によると、2026年1〜7月のスマホゲーム事業者の倒産は10件にのぼった。前年累計の3件を大きく上回るペースだ。これまでの最多は2015年の12件で、今年はそれを超える見通しだ。ただ、この数字を「スマホゲームはもう斜陽産業だ」と読むのは違う。
市場は伸びている
『ファミ通モバイルゲーム白書2026』によれば、2025年の世界モバイルゲーム市場は前年比1.4%増の12兆6001億円。国内のゲーム市場も8.0%増の2.5兆円だ。使われるお金は減っていない。ただ国内はゲーム人口が3.0%増えるなか、モバイルの利用者だけが減った。少ない人数がより多く払う形だ。
過去5年の倒産29件のうち、資本金1000万円未満の小さな会社が15件と半数を超えた。3D映像やフルボイス化で中身が複雑になり、初期開発費だけで数億円かかることも多い。出したあともキャラクター追加やイベント運営に費用がかかり続ける。そこへ長寿の人気タイトルや、資金力のある中国・韓国勢が立ちはだかる。ユーザーは慣れ親しんだゲームから動かず、体力のない会社から脱落していく。倒産が増えるのは市場が縮んだからではない。お金と人気が一部の勝ち組に集まっているからだ。
2015年の淘汰とは中身が違う
前回のピークだった2015年も淘汰の年だ。ただ原因は、ブラウザ型からアプリ型へ需要が移ったこと。技術と売り方が変わり、ついていけない会社が退場した。その後はコロナ禍の需要増とゼロゼロ融資が重なり、淘汰はいったん止まる。
今回の10件は、その支えが切れたあとの二度目の波だ。だが原因は切り替えではなく、下がらないコストと勝ち組への集中だ。技術に追いつけば生き残れた時代と、資金量と手持ちのIPで生死が決まる時代。同じ「淘汰」でも中身は入れ替わった。帝国データバンクが「当たれば一攫千金」の時代の終わりと言うのは、この違いだ。
終わり方がそのまま信用になる
象徴的なのがアンビションだ。『文豪ストレイドッグス 迷ヰ犬怪奇譚』の終了告知は、終了前日の7月30日。だが東京商工リサーチによれば、同社は7月3日付で東京地裁の保全管理命令を受けている。告知の時点で会社はすでに破産手続きのなかにいた。未使用の課金アイテムも、利用規約を理由に払い戻さないとした。約8年8か月続いたタイトルの幕引きとしては急すぎる。
資金決済法は、対象となる前払式支払手段の発行をやめる際、未使用残高の払い戻しを原則として義務づける。同社がiOS版向けに掲げた表示にも、提供終了時はこの限りでないとあった。
ここで比較対象として挙げたいのが、同じく2026年に経営破綻した韓国のクローバーゲームズだ。4月6日にアプリ内課金を止め、9日に破産手続開始を申し立てると同時に終了を予告。『ロードオブヒーローズ』などの終了は約1か月後の5月9日からで、返金もストアのカスタマーセンターへ申請するよう案内した。
結末は同じでも、進め方はまるで違う。米英の開発者504社への2023年の調査では、83%のゲームが3年以内にサポートを終えるとされた。終了自体はもう珍しくない。問われるのは終わるかどうかではなく、どう終わるかだ。倒産が当たり前の市場では、その違いこそがユーザーやIPの権利者の記憶に残る。
「ゲームだけを作る」ことの限界
帝国データバンクは、有力IPを持つ企業と組む動きや、開発技術のDX支援への転用に触れ、「ゲームだけ」を作る会社の生き残りは難しくなると指摘した。実際にマイネットは今年6月、AIで運営コストを50%減らす目標を掲げた。生き残る道はIP、受託、コスト削減の三つに絞られつつある。














