X(旧Twitter)と音楽出版社は、2023年から続いてきた音楽ライセンスを巡る法廷闘争に終止符を打った。両者は7月16日、米国の連邦地方裁判所(2カ所)に、訴訟取り下げに関する共同合意書を提出した。
両件とも「再提訴不可の形で」却下され、各当事者は自らの訴訟費用、経費および弁護士費用を負担することとなった。和解の条件や、Xが出版社から音楽の使用許諾を受けることに合意したかなどは明らかにされておらず、両者ともコメントを控えている。ただ、いずれの当事者も再提訴できなくなることから、何らかの合意が成立したとみられる。
全米音楽出版社協会(NMPA)が主導する出版社連合は2023年、同プラットフォーム上で「著作権で保護された音楽の横行する著作権侵害」が行われているとしてXを提訴。担当判事は2024年、出版社側の直接的・間接的な侵害の主張を却下したが、部分的な侵害の幇助の主張については審理継続を認めた。両者は昨年に和解交渉に入るも決裂。今年1月、XはNMPAなどを相手取り、共謀によるライセンス契約強要を主張し、独占禁止法に基づき反訴した。
最高裁が3月に下した「コックス・コミュニケーションズ対ソニー・ミュージック・エンターテインメント」訴訟の判決がXに大きな優位性をもたらし、同社は6月、コックス事件の判決に基づき、自社が当事者である著作権訴訟を却下すべきだと申し立てていた。
メタ・プラットフォームズ、YouTube、TikTokなどは、自社プラットフォームでの利用のために音楽出版社からライセンスを取得しているが、Xは異なる。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「イーロン・マスクのXが、3年続いた音楽出版社との争いに終止符を打った。流れを変えたのは、今年3月の最高裁の判決だ。この判決は、無断コピーの責任をどこまでネット企業に問えるかを巡るもので、結果的にX側に有利に働いたとされる。追い風を受けたXは6月、その判決を根拠に訴訟の打ち切りを申し立てていた。そして今回、双方が二度と蒸し返せない形で訴えを取り下げ、幕が下りた。もともとXは、メタやYouTube、TikTokが音楽の対価を払うなか、唯一それを拒んできた企業だ。訴えられれば逆に反訴で応じる、マスドらしい強気の構えを崩さなかった。その背中を、思わぬ司法判断が押した格好である。もっとも和解の中身は非公開で、Xが結局どんな条件をのんだのかは見えない。法廷の風向き一つで、こじれた争いが動く——その現実が表れた一件だと読み取れる。」














