『Detroit: Become Human』で知られるフランスの開発スタジオQuantic Dreamが、大きな転換点を迎えている。
仏メディアgamekultなどの報道によると、同社では6月25日、115人規模の人員削減計画に反対する従業員によるストライキが発生した。労働組合側によれば、同日はルーカスフィルム関係者が開発中の『Star Wars Eclipse』の進捗確認のためスタジオを訪問する予定だったとされており、従業員側はその日に合わせて抗議行動を実施したという。ゲーム業界の労働組合STJVもこの動きと連動し、他スタジオへの参加を呼びかける「Summer Strike Fest」と呼ばれる継続的な抗議活動を展開している。
『Spellcasters Chronicles』失敗が引き金に
削減対象となっているのは、2026年にサービス終了したオンラインタイトル『Spellcasters Chronicles』に主に関わっていた開発チーム約115人だ。スタジオ側は、この人員削減が『Star Wars Eclipse』の開発に影響しないとの立場を示しているが、この対立にはさらに複雑な構図が潜んでいる。
従業員側の主張によれば、『Spellcasters Chronicles』の終了を主導したのは親会社NetEaseであり、Quantic Dream経営陣はむしろ同作の継続を望んでいたという。一方で、人員削減をめぐってNetEaseとの直接交渉を求めても、経営陣は交渉の窓口とはならず「予算はNetEase次第」という説明に終始しているとされる。
従業員側から見れば、IP保有元であるルーカスフィルム、開発スタジオ経営陣、資本を握る親会社NetEaseという三者の間で責任の所在が曖昧になっている構図が浮かび上がる。大型IPを軸にした多層的な資本構造が、かえって意思決定の透明性を損なっているという皮肉な現実がそこにある。
『Star Wars Eclipse』は2021年のThe Game Awardsで発表された、ハイ・リパブリック時代を舞台とするアクションアドベンチャー作品だ。当時は大きな注目を集めたが、発表から約5年が経過した現在もゲームプレイ映像は公開されておらず、発売時期も不明のままである。Quantic Dreamは開発継続の姿勢を維持しているものの、外部から進捗を確認できる情報は依然として限定的だ。
投資環境の変化という背景
こうした状況は、現代ゲーム産業が抱える構造的な課題と地続きである。近年のAAAタイトルは、開発期間が5年から10年規模に達することも珍しくなくなった。高品質な体験を実現するためには数百人規模の開発体制を長期間維持する必要があり、スタジオにはクリエイティブ能力だけでなく、継続的な資金調達能力と組織運営能力が求められるようになっている。
Quantic Dreamが2022年にNetEaseの完全子会社となった背景にも、こうした資金調達の論理がある。しかし世界のゲーム市場では投資環境の変化が進み、パンデミック期の拡大戦略は見直されつつある。2023年以降、Embracer Groupの事業再編やMicrosoftゲーム部門の見直し、Ubisoftのコスト削減など、大手を含むレイオフが相次いでいる。成長産業として人材獲得競争を続けてきたゲーム業界は、選択と集中を迫られる局面へ移行しつつある。
『Star Wars Eclipse』をめぐる議論は、一作品の遅延やスタジオの経営問題を超え、巨大IP時代におけるAAA開発の持続可能性という業界全体が向き合うべきテーマを映し出している。














