カナダ・ラジオ・テレビ電気通信委員会(CRTC)は5月21日、Netflixなど米国系ストリーミングサービスを含む「オンライン放送事業者」に義務付けている、カナダおよび先住民のコンテンツ制作への拠出額をカナダ国内収益の5%から15%に引き上げると発表した。これを受け、米業界団体が猛反発している。
2023年に制定された「オンライン・ストリーミング法」の一環。なお、同法は国外のストリーミング企業が連邦控訴裁判所に異議申し立てを行ったため、拠出金の支払い義務が一時停止されている。
対象となるのは、カナダ国内での年間放送収入が2,500万カナダドル(約28億7,700万円)を超えるストリーミング事業者。CRTCは一方で、従来の放送事業者の負担率を30〜45%から25%へと引き下げた。
米映画業界団体モーション・ピクチャー・アソシエーション(MPA)は同日、「カナダで事業を展開する米国のストリーミングサービスに対し、前例のない、不必要かつ差別的な投資義務を課すというCRTCの決定を強く非難する」との声明を発表。MPAには、ウォルト・ディズニー、Netflix、Amazon Prime Video、Amazon MGMスタジオ 、ソニー・ピクチャーズ、ユニバーサル・ピクチャーズ、パラマウント・スカイダンス、ワーナー・ブラザースが加盟している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「CRTC(カナダ・ラジオ・テレビ電気通信委員会)が、Netflixなどへの拠出比率を国内収益の5%から15%へと引き上げた。興味深いのは、これが「外資への増税」だけでなく、「国内放送局への減税」とセットになっている点だ。従来のカナダ国内放送局の負担率は30〜45%から25%へと引き下げられた。長らく重い拠出義務を担ってきた国内放送局を、配信時代の競争で楽にする──そのための原資を、グローバル配信プレーヤーから取りに行く構造設計だ。米映画協会(MPA)は「前例のない、不必要かつ差別的な投資義務」と強く反発しており、訴訟による拠出金支払い停止状態が継続している。国境を越える配信ビジネスと、国境を持つ放送規制の摩擦が、今後さらに表面化していく構図になっている。」














