人間のアーティストたちがAI生成音楽の氾濫との競争にさらされる中、Spotifyはその解決策はAIの力を借りて生成される「さらなる音楽」にあると主張している。4月28日の決算説明会での話を元に、音楽業界ニュースサイトのHypebotなどが伝えた。
グスタフ・ソーデルストロム共同CEOは、自社の楽曲カタログが2億5,000万曲にまで膨れ上がったことを明らかにした。最近の推定値である1億曲の2.5倍に相当する。
同氏は「私がSpotifyに入社した当時(2008年)、音楽カタログは約200万曲だったと思うが、現在は約2億5,000万曲になっている。つまり、カタログの拡大は目新しいことではなく、今後も増え続けると考えている」とコメント。AIは人間のミュージシャンにとって深刻な問題である一方、AIこそが解決策でもあると示唆した。
現時点では著作権や帰属の問題から、既存クリエイターたちがAIの恩恵からほぼ完全に取り残されていると指摘。既存クリエイターが自身の作品を基にしたAI派生作品を作成し、その対価を受け取れるようにすることに注力する方針を示した。
Hypebotはこれについて「『著作権問題』を解決しても、『認知度の問題』は解決しない」と指摘している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「「AIによる問題は、AIによるさらなる音楽で解決する」というソーデルストロム共同CEOの主張は、Spotifyの立ち位置を改めて鮮明にした発言だ。AI生成楽曲を排除する方向ではなく、既存クリエイターを派生作品の経済圏に取り込む方向で設計しようとしている点に、プラットフォーム企業らしい現実主義が表れている。著作権と帰属を整理し、自作を素材としたAI派生作品から対価が流れる仕組みが整えば、AIは脅威から収益源へと位置づけが変わる。レーベルが原盤権を軸にロイヤリティを管理してきた20世紀の構造に、AI派生という新しいレイヤーが加わる構図と読み取れる。Spotifyが2008年の200万曲から2億5,000万曲へとカタログを拡大してきた歴史は、その都度新しい供給源(個人配信、ディストリビューター、AI)を経済に組み込んできた歩みでもある。今回の方針もその延長として理解できる。」














