「ポケモン」の新作長編アニメーション映画『ポケモン:ワイルドカード』が、2027年に全世界で順次公開されることが決まった。日本時間の8月31日、米サンフランシスコで開かれていた世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2026」の閉会式で特報映像が世界初公開され、あわせて公式サイトとティザービジュアルも公開された。
主役はカードプレイヤーと「ミミッキュ」
公式Xの告知文は、「物語の主役はプレイヤー。そして、ミミッキュ。」というものだった。ここでいうプレイヤーとは、ポケモンを連れて旅をするトレーナーではなく、ポケモンカードゲーム(ポケカ)を遊ぶ人物を指す。特報には、ネオンが灯る夜の街でカードを構える黄色いフードのプレイヤー「ミキヤ」と、その背後で橋の欄干に立つミミッキュの姿が描かれた。
ミミッキュは2016年の『ポケットモンスター サン・ムーン』で初登場した「ばけのかわポケモン」だ。ピカチュウに似せた布をかぶった姿が特徴で、2020年に世界規模で行われた人気投票「ポケモン・オブ・ザ・イヤー」では全890種のうち3位に入った。看板役のピカチュウを立てなかった点に、本作の異色さが表れている。
「ポケカ」を題材にした初の映画
ポケモンの長編映画は、1998年の『ミュウツーの逆襲』以降、ほぼ毎年公開されてきた。だが2020年公開の『劇場版ポケットモンスター ココ』を最後に新作が途絶えており、今回はおよそ7年ぶりの復活となる。
そのうえ、これまでの劇場版はテレビアニメと地続きの物語が中心だったのに対し、カードゲームを主題に据えた作品は今回が初めてだ。告知に「#ポケカ映画」というハッシュタグが添えられていたことからも、シリーズの本流とは別の枠組みで企画されたことがうかがえる。
発表の舞台も象徴的だ。ポケモンワールドチャンピオンシップスは、ゲーム部門とカードゲーム部門などで争われる公式の世界大会である。世界中のカードプレイヤーが集う場で初公開したこと自体が、この映画の行く先を物語っている。
30周年を迎えるポケカ
背景にあるのは、ポケカの好調ぶりである。1996年10月20日に発売された同ゲームは、2026年10月に30周年を迎える。記念商品「30th CELEBRATION」はポケカ史上初の世界同時発売となり、9月16日から展開がスタート。周年を前に旧作カードの取引価格が上昇するなど、コレクション市場も熱を帯びている。
さらに、スマートフォン向けの『Pokémon Trading Card Game Pocket』(ポケポケ)は、2024年10月の配信開始から約4か月で全世界累計1億ダウンロードを突破したと公式が発表している。調査会社Sensor Towerの推計では、配信1年間の収益は12億ドル超。日本は収益シェアで世界1位を占め、35〜44歳という「初代世代」の比率も他国より高い。
つまりポケカは、子ども向けの遊びという枠を越え、幅広い年齢層が遊び、集め、競技として戦う対象になっている。映画化はその変化を追認する企画だといえる。
制作は『SPY×FAMILY』のCloverWorks
監督は『THE FIRST SLAM DUNK』で演出を務めた北田勝彦氏、キャラクターデザインは『BANANA FISH』の林明美氏が担当する。アニメーション制作は『SPY×FAMILY』などで知られるCloverWorks、企画・プロデュースはSTORY inc.が手がける。特報では手描き作画による表現が前面に出ており、従来の劇場版とは異なる映像の方向性が示された。
公開時期の詳細やキャスト、物語の全容は今後明らかにされる見通しだ。なお、次回の世界大会「ポケモンワールドチャンピオンシップス2027」は、2027年8月13日から15日までシンガポールでの開催が決まっている。














