メタ・プラットフォームズは8月26日、米国のほぼ全州から提起された10代のSNS依存を巡る訴訟で和解したと発表した。今後10年間で最大およそ180億ドル(約2兆8,800億円)を支払い、FacebookおよびInstagramに、より強力な児童保護対策を講じることに合意した。

今回の合意に基づき、以下の対策を講じる。

・1日2時間の利用時間制限

・夜間の利用制限

・平日の学校時間中のプッシュ通知の停止

・利用時間の定期通知

・「いいね」の非表示

・非アルゴリズム型フィード(パーソナライズされていないフィード)を選択できる機能

・コンテンツ自動再生をオフにする機能

・美容整形や極端なメイクアップフィルターの無効化

・アカウントの非公開化

・年齢確認

・年齢に応じたコンテンツ制限

・有害コンテンツの通報機能の向上

・ペアレンタルコントロールの強化

なお、メタの和解金の30%(約53億ドル)は、競合他社であるYouTubeとTikTokが「1日1時間の利用制限」「夜間の利用制限」「年齢確認の導入」「和解金の30%分(YouTubeとTikTokで折半)の支払い」という条件を満たした場合にのみ、州側に支払われる。メタはYouTubeとTikTokに同調を呼びかけている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「10年で最大約2兆8,800億円——メタが10代のSNS利用を巡り米国ほぼ全州と結んだ和解の規模は、かつてタバコ産業が州と交わした歴史的和解を思わせる。社会的影響を巡る訴訟が業界の資金と設計を動かす段階に、SNSも入りつつあるのかもしれない。対策は、未成年の利用1日2時間、夜間制限、年齢確認など踏み込んだ内容だ。興味深いのは、和解金の設計である。支払いの30%(約53億ドル)は、競合のYouTubeとTikTokが同様の制限を受け入れた場合にのみ支払われるという。一社だけが規制を守れば緩い競合へ若者が流れる——このジレンマを、和解金を梃子に業界標準へ広げようという知恵と読めそうだ。世界では豪州が16歳未満のSNS利用を法で制限し、EUも未成年保護を強めている。米国は訴訟と和解の道で同じ方向へ向かった形だろう。日本でも青少年のネット利用を巡る議論は続いており、海外の基準は参照点になっていくはずだ。国内の各社にとっても、備えを考える材料になりそうな一件である。」