2026年8月28日、エレクトロニック・アーツ(EA)傘下のMotive Studioが開発する『アイアンマン』のゲーム映像がネット上に流出した。海外掲示板ResetEraやRedditを起点に拡散した約2分半の映像で、「AUG26 TEST」というウォーターマークが入り、社内向けのテスト素材が外部に出たものとみられる。
映っていたのは、トニー・スタークがブーツの噴射で街の上空を飛び回り、地上と空中で敵と戦う様子だ。飛行は『Anthem』の推進移動を思わせるとの評もある。ペッパー・ポッツやジェームズ・ローズら原作でおなじみの人物も登場し、終盤にはスーツを組み替える画面も映る。一部にプレースホルダー素材が残る作りかけで、舞台の都市も米メディアKotakuが「シカゴではないか」と推測する段階だ。
しかし、異例だったのはその後だ。この種の流出には削除要請で応じるのが主流だが、EAは映像を本物だと認めた。ほぼ使われていなかった公式Xアカウントは「予定通りとはいかなかった。だが、これで知ってもらえた。見せたいものはまだたくさんある。準備が整ったら会おう」と投稿している。
4年近く沈黙が続いていた企画
本作は2022年9月、MotiveとMarvel Gamesの共同開発として発表された。翌10月にはEAとマーベルが、コンソール・PC向けに最低3本のアクションアドベンチャーを開発する長期契約を発表。本作はその第1弾で、シングルプレイ専用の三人称視点作品とされていた。
だが以降4年近く、具体的な情報は出てこなかった。3本契約の一角とされた『ブラックパンサー』は2025年5月に中止となり、担当したCliffhanger Gamesも閉鎖された。EAとマーベルは契約が有効で今後はMotiveが主導すると示したが、『アイアンマン』の音沙汰はない。開発元が『Battlefield 6』の共同開発に動員されたこともあり、「お蔵入り」説が強まっていた。
削除ではなく追認を選んだ理由
こうした経緯を踏まえれば、追認という判断は理解しやすい。ウォーターマークの「AUG26」は、映像が2026年8月時点のビルドだと示す。流出直前まで作業が進んでいた計算だ。無言で削除に走れば疑念だけが残る。逆に認めれば、今回の失点(リーク)を生存証明に変えられる。
EA自身の状況も無関係ではない。同社は2026年8月4日、サウジアラビアの政府系ファンドPIFなどによる企業価値約550億ドル規模の買収を完了し、非上場企業となったばかりだ。新体制の初期に大型タイトルが動いていると示せる意味は小さくないだろう。
『ウルヴァリン』発売直前という巡り合わせ
加えて、タイミングも見逃せない。3週間足らず後の9月15日には、Insomniacの『Marvel’s Wolverine』がPS5で発売される。マーベルはゲーム化権を1社に集約せず、ソニーやEAなど複数社に分散させてきた。今回の流出は、その一角が予定外の形で表に出た格好だ。なおInsomniacも2023年のランサムウェア被害で同作の資料が流出している。同じ週には、『Just Cause』『Mad Max』のAvalanche Studiosが2010年代に開発した別の未発売『アイアンマン』の映像も流出した。ただし無関係な企画であり、混同に注意したい。
繰り返しになるが、EAは『アイアンマン』ゲームの発売時期を一切示していない。確かなのは、次に公式映像が出たとき、「意図せず世に出た未完成版」と比較される点だ。次の一手をいつ、どの舞台で示すのかが焦点となるだろう。














