角川アスキー総合研究所は8月6日、『ファミ通ゲーム白書2026』を発売した。2025年の世界ゲームコンテンツ市場規模は前年比3.5%増の32兆1024億円で初めて32兆円を超え、国内は同8.0%増の2兆5885億円と世界を上回る伸びを示した。

ただし成長の中身は数量ではなく単価にある。市場は「ユーザーをどれだけ増やすか」から「1人からどれだけ受け取るか」へ、収益構造の重心を移しつつある。

円建て3.5%増、実勢はそれ以上

前年版の推計では2024年の世界市場は31兆42億円、前年比5.0%増だったが、同一為替レートでは2.6%減だった。円安が実質のマイナスを覆い隠していたわけだ。

今回はその構図が反転している。期中平均レートは2025年が1ドル149.62円、2024年が151.69円と円高方向に振れており、ドル建てに換算すれば伸びは約5%となる。円建ての3.5%増は実勢を過小評価した数字であり、グローバル市場は前年より明確に持ち直している。

国内8%増を支えたのはハード偏在

国内の高成長はハード世代交代に依存する。Nintendo Switch 2は2026年6月末時点で世界2368万台を販売し、うち日本が670万台と28%を占めた。

米大陸795万台、欧州537万台と比べても日本の比率は突出している。初年度実績1986万台について、古川俊太郎社長は「過去のハードウェアと比較しても異例の水準」と述べており、この偏在が国内成長率を押し上げた。裏を返せば、ハード効果が一巡する2026年以降、国内の伸びは鈍化する可能性が高い。

価格転嫁が市場規模を押し上げた

白書は市場拡大の要因の一つに「インフレや原材料価格上昇に伴う価格改定」を挙げる。2026年6月時点の国内家庭用ゲーム機の平均単価は5万1376円、前年同月比9.5%上昇した。

任天堂は5月25日にSwitch 2の国内専用モデルを4万9980円から5万9980円へ改定し、当期はメモリ中心の部材価格上昇と関税措置で約1000億円の原価影響を見込む。ニンテンドースイッチオンラインの個人プラン年額も4900円から5900円へ引き上げられた。カテゴリー別成長率は家庭用8.0%増、PC5.8%増に対しモバイルは1.3%増にとどまり、成長の牽引役は明確に単価の高い領域へ移っている。

指標は「獲得」から「継続」へ

国内ゲーム人口は5639.3万人で前年比3.0%増だが、白書は中長期ではおおむね横ばいと注記する。2026年版が新たに収録した「ゲームコミットステイタス」では、2025年から継続してプレイするユーザーを2841.5万人と推計。ゲーム人口の約半数である。母数が飽和した市場では、新規獲得数よりも継続率と単価の積が事業の成否を分ける。

白書が示す「価格に見合う価値を感じられるか」という論点は、価格改定の可否ではなく、値上げ後の継続率をどう設計するかという問いに置き換えられる。単価上昇を前提とした市場では、獲得コストではなく顧客生涯価値を軸にした事業設計が求められるだろう。