4月6〜9日にサンフランシスコで開催されたAIカンファレンス「HumanX」では、数千人の技術者が集結。自律型AIがビジネスにどのような変化をもたらしているかが主な議論のテーマとなった。TechCrunchの記者は、同カンファレンスで最も頻繁に耳にしたチャットボットはClaudeだったと伝えている。

Claudeの開発元であるアンソロピック(Anthropic)は、多くのパネルディスカッションで言及されるとともに、会場内を歩き回りながら話をしたベンダーたちとの間でも話題になったという。一方、あまり話題に上らなかったのはChatGPTで、あるベンダーは、自身とチームがClaudeを頻繁に利用していると強調しつつ、ChatGPTと開発元のOpenAIは下り坂、または落ちぶれたと感じていると語った。

これについてTechCrunchは、サム・アルトマンCEOの信頼性を疑問視する声やトランプ米政権との協力関係、ChatGPTへの広告導入を巡る論争や方針の揺れ動きにより、OpenAIの対応は戦略的というよりは反応的であるように映りかねないと指摘。一方で、知名度や収益という点では、少なくとも表面上はアンソロピックと互角の争いを繰り広げているように見えていることから、OpenAIにとっての「勢いの衰え」は、技術環境の急速な変化を背景に、もはや誰もが認める王者ではなくなったということかもしれないとの見方を示した。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「「最も話題になったAIはClaudeだった」——サンフランシスコのAIカンファレンスから届いたこの観察は、AIの競争軸が「機能」から「信頼」へと移行していることを示している。ChatGPTが「AIという魔法」を世界に見せたとすれば、AnthropicのClaudeは「制御可能で倫理的に整合性のある道具」として企業ユーザーに選ばれ始めた。

Constitutional AI(憲法AIと呼ばれる出力制御の枠組み)への取り組みが、エンタープライズ領域での「安心感」に直結している。Disney+とSoraの提携頓挫はその文脈で象徴的だ。どんなに優れた映像生成AIでも、計算コストや権利保護の問題でサービスが突然終了するリスクがあるなら、ディズニーのような巨大IPホルダーは命運を預けられない。

今や問われているのは「何ができるか」より「10年後もその企業が存在し、IPを共に守れるか」になってきたのかもしれない。ゲーム、映像、音楽、スポーツ——コンテンツ産業でAI活用が加速する中、AIを「技術」ではなく「ガバナンスを要する社会インフラ」として選ぶ時代が来つつある。」