2026年9月15日、ゲームのIPを題材にしたファッションアイテムの発表が2件重なった。バレンシアガ×セガと、アディダス オリジナルス×『ポケットモンスター』(以下、ポケモン)だ。価格帯の異なる2つのニュースだが、まずは前提知識とあわせて整理する。

バレンシアガ×セガ 高級メゾンがソニックをまとう

バレンシアガは、スペイン出身のデザイナー、クリストバル・バレンシアガが興し、パリを拠点とするメゾンだ。同社は9月15日にセガとの公式パートナーシップを発表し、日本国内の一部店舗と公式オンラインストアで先行販売を始めた。9月22日からは世界各国の一部店舗とオンラインストアでも展開する。国内メディアの報道によれば、9月17日に開幕する東京ゲームショウ2026に合わせた取り組みだという。

コラボアパレルを飾るデザインの軸は、1991年の誕生以来セガの顔を務めてきた「ソニック・ザ・ヘッジホッグ」だ。バレンシアガのスニーカー「Jet」を履いたソニックが画面から飛び出すグラフィックや、セガのフォントで描いたバレンシアガのロゴなど、両者の記号を掛け合わせた。日本限定のヴァーシティジャケットは53万2000円、ジップアップフーディは25万6000円だ。東京・青山の旗艦店にはヴィンテージのアーケード筐体「ブラストシティ」が2台置かれ、うち1台では1996年の対戦格闘ゲーム『ソニック・ザ・ファイターズ』を遊べる。

アディダス×ポケモン 30年分のファンを定番靴で迎える

アディダス オリジナルスは、「スーパースター」や「サンバ」などの名作モデルを擁する、アディダスのストリートスポーツウェアブランドである。今回はグローバル展開の「ADIDAS | POKÉMON」の日本版で、1996年の『ポケットモンスター 赤・緑』発売から30年の節目に登場した。

ピカチュウ、リザードン、ミュウツー、レックウザ、ゲンガーなどの配色やモチーフを、定番のシルエットに落とし込んだ。直営店での価格は「スーパースター II」が1万7600円、「サンバ OG」が1万6500円。キッズ向けアイテムも用意し、各シューズにはポケモン仕様の専用ボックスが付くなど、幅広い世代を意識した構成だ。さらに渋谷・MIYASHITA PARKの旗艦店では、10月7日までフォトスポットなどの特別装飾も実施される。

ゲームとファッションの協業はどう広がってきたか

こうした協業は2010年代から見られる。2012年には英誌の企画でプラダの服を『ファイナルファンタジーXIII-2』のキャラクターがまとい、2016年にはルイ・ヴィトンが『ファイナルファンタジーXIII』のライトニングを春夏の広告キャンペーンに起用した。2019年には同ブランドがライアットゲームズと契約し、『リーグ・オブ・レジェンド』世界大会の優勝トロフィーケースや、ゲーム内の衣装と連動したカプセルコレクションを手がけた。

2021年1月には、グッチとザ・ノース・フェイスの協業アイテムが『ポケモンGO』のアバター衣装として登場。同年9月にはバレンシアガ自身も『フォートナイト』とコラボし、ゲーム内の衣装と、同作のロゴ入りアイテム全6点(4万7300円〜16万9400円)を同時に発表している。また2023年にはティファニーが、現代美術家ダニエル・アーシャムとポケモンによるジュエリーを発売した。

デジタルから「リアルな体験」へ

過去の事例はゲーム内の衣装とセットで語られることが多かったが、今回は発表内容を見る限り、いずれも実物の服と店舗での体験に重心がある。バレンシアガは筐体を置き、アディダスは店舗を装飾した。

50万円を超えるジャケットと1万円台のスニーカーという価格差は、ゲームIPがラグジュアリーとマスの双方で通用する「共通言語」になった表れといえそうだ。東京ゲームショウ、ポケモン30周年、ソニック35周年が重なる2026年秋は、その広がりを実感する季節になるだろう。