2022年に幕を閉じたスマートフォン向けリズムゲーム『歌マクロス スマホDeカルチャー』が、買い切り型のゲームとして帰ってくる。開発資金を募るクラウドファンディングは、募集開始から1日で目標額3000万円を突破した。プロジェクトを進めるAUGUST株式会社は9月11日、新たなストレッチゴールを発表。9月14日時点で支援総額は1億円を突破し、支援者数は2843人に達している。
サーバー再開ではなく「作り直し」
まず押さえたいのは、これが終了したサービスの再開ではない点だ。
原作の『歌マクロス スマホDeカルチャー』は、DeNAが2017年8月に配信した基本プレイ無料のリズムゲームだ。『超時空要塞マクロス』から『マクロスΔ』まで、シリーズの垣根を越えて歌姫やパイロットが集結する点が特徴で、シリーズ唯一の公式リズムゲームとして約5年間運営された。しかし2022年6月28日にサービスを終了した。
今回発表されたのは、この運営版をベースに、iOS/Android/PC(Steam)向けの買い切りタイトルとして作り直す計画だ。課金を伴うガチャもスタミナ消費もなく、ガチャはプレイ報酬で引ける無料のBOX型に変更される。基本パッケージは厳選した50曲(予定)に加え、★4以上のイラストプレート1000枚以上と、各歌姫の衣装20種類以上を所持した状態で始められる。配信は日本国内のみの予定だ。
四者の合意が復活を可能にした
他社が運営していたタイトルを別会社が引き継ぐには、権利処理のハードルが高い。発売元となるAUGUSTは、スクウェア・エニックスで『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』などをプロデュースした広野啓氏が代表取締役を務める新会社だ。同社はIP保有元のビックウエストから正式に許諾を受け、ビックウエストがDeNAを含む関係各所と協議した結果、DeNAからも復活への賛同を得たという。
開発を担当するのは、運営版と同じ株式会社ジーン(xeen)である。権利元・元運営元・元開発元・新発売元の四者が足並みをそろえたことが、4年越しの復活を成立させた。
支援額に応じて中身が拡張される
クラウドファンディングはAll-in方式で、目標未達でも開発と提供は行われる。3000万円は「達成しなければ作れない」金額ではなく、内容の充実度を左右する基準だ。
発表されたストレッチゴールは3段階。7500万円で家庭用ゲーム機版の開発に着手し、9000万円で3Dデジタルライブ「UTA MACROSS SUPER DIMENSION 3D miniLIVE」の収録曲数を増やし、1億円で運営版に未収録だった新規楽曲をDLCとして追加する。すでに7500万円は突破しており、募集終了は10月31日である。
「終わったゲーム」の受け皿をどう作るか
サービス終了とともにゲームが遊べなくなる問題は、世界的な論点になっている。EUでは終了後のプレイ環境維持を求める市民イニシアチブが約130万筆を集めたが、欧州委員会は6月に法制化を見送った。米カリフォルニア州でも同趣旨の法案が州下院を通過したものの、6月末に上院の委員会で否決されている。
国内では、カプコンが『ロックマンX DiVE』の終了に先立ち、2023年に買い切り版『ロックマンX DiVE オフライン』を3990円で発売した先例がある。ただし多くのタイトルで残されるのは、ストーリー閲覧や図鑑機能に絞ったメモリアル版であり、遊技性ごと保存される例は少ない。
制度による解決が足踏みするなか、今回の反響は別の角度から一つの答えを示している。終了から4年あまりが経ってもなお、これだけの需要が残っていた。サービス終了時に「オフライン版は出さないのか」と問われる場面は、今後さらに増えるはずだ。














