クリエイター向け広告プラットフォーム「Agentio」の最新のデータによると、YouTubeの新しい公開再生回数は、エンゲージメントを40%過大に報告しているという。

YouTubeは8月、長編動画の公開再生回数の集計方法を変更。動画の再生開始直後にカウントされるようになった。クリエイターは依然として、YouTube Studioで従来の指標「エンゲージメントビュー(最低視聴時間を超えた再生回数)」を確認できる。

Agentioは今回、自社のクリエイターネットワークに属する7万5,000本以上の動画の視聴回数を分析。平均して公開再生回数10回当たり、エンゲージメントビューとしてカウントされるのは、わずか6回に過ぎなかった。

過大評価の度合いは、チャンネル登録者数によって大きく異なり、平均して「マイクロチャンネル(登録者数5万人未満)」では85%、「マクロチャンネル(同30万人以上)」は49%だった。

また、ホームページでのホバー表示、「次におすすめ」の自動再生などの「フィード表示」は、公開再生回数の38%を占めた。視聴者が意図的に動画を再生したケースの85%は、エンゲージメントビューにカウントされていた。

Agentioは、公開再生回数を基準にクリエイターと提携するブランドは、67%も過剰な支払いをしている可能性が高いと指摘。単なる露出ではなく、注目に対して対価を支払うには、エンゲージメントビューのデータを活用すべきと助言している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「YouTubeが8月に導入した「再生開始直後にカウント」する新しい公開再生数は、実質的な視聴を平均40%過大に映している。広告プラットフォームAgentioが7万5,000本超の動画で実測した結果だ。中でも考えさせられるのは、格差の構造である。過大幅は、登録者5万人未満の小規模チャンネルで平均85%、30万人以上では49%。小さいチャンネルほど数字が膨らみやすい。ホーム画面などでの受動的な表示が再生数の38%を占め、固定ファンの少ないチャンネルほど「通りすがりのカウント」の比率が高いためとみられる。新人アーティストには二つの顔を持つ報せだろう。公開の数字が育ちやすく見栄えの実績を作りやすい半面、通りすがりの人の心にもしっかり届いているか、自分自身に問いかける機会が増えそうだ。見方を変えれば、まず少数に配り、反応の良いものだけがアルゴリズムに乗って広がるTikTokの流儀に、YouTubeが少し近づいたとも言える。無名でも中身次第で伸ばせるという意味では、チャンスの拡大でもある。」