TOYOTA ARENA TOKYOの中央に組まれたステージを、満員の客席がぐるりと囲む。7月11日と12日の2日間、MIXIが主催した「DREAMDAZE Ⅳ(モンドリ)」。掲げられたテーマは「この熱は止まらない」で、チケットは完売。ステージにはDJ KOO(TRF)、てつや(東海オンエア)、兎田ぺこら(ホロライブ)、壱百満天原サロメ(にじさんじ)と豪華ゲストが次々に立った。

開幕、場内が暗転する。正面の巨大LEDに炎とレーザーが走り、色つきのスモークの向こうからDREAMDAZE Ⅳのロゴが浮かび上がる。センターステージにパフォーマーが立ち、客席のペンライトが一斉に色を変えた。この時点でイベントの空気はまるで音楽フェスのようだ。

この2日間の模様は公式のYouTube配信でも届けられ、7月12日のアーカイブは配信後わずか数日で286万回視聴、コメント欄には終演後も「過去最高」「過去一」という言葉が並び、「これがソシャゲの熱かよ」という一言に数百件の共感が集まっていた。

モンストこと「モンスターストライク」は、2013年10月にサービスを開始したスマホゲーム。世界累計利用者数は6,500万人を超え、この秋で13周年を迎える。13年も経てばコンテンツとして落ち着いてくるはずの時期になぜアリーナを満員にし、これほどの熱狂を生めるのか。現地で確かめたかったのはその一点だった。見えてきた答えは、一つではなく何層にも重なっていた。

本気の競技が本物のドラマに

初日の熱狂をひとつに絞るなら「M4 FIGHT CLUB」だ。タイガー桜井、宮坊、ぺんぺん、けーどら。モンストうまい4人組で結成されたM4が、初日の最後に超高難度クエスト「黎絶フォギルエ」へ挑む。戦いは約3時間。最後の挑戦、いわゆるラストチャンスまでもつれ込み、そこで決め手の一撃を放ったのがけーどらだった。そして、タイガー桜井のショットで勝利が決まった瞬間、本人たちも含め会場、MC、舞台裏のスタッフまで涙を流していた。

©MIXI

配信のコメント欄では、「主人公すぎた」「普通に泣いた」「M4史上、過去最高の盛り上がり」と画面越しに貰い泣きしたという書き込みが続き、いつも相当なプレッシャーの中で挑んでくれていると、M4をねぎらう声もあった。4人それぞれの一手にも名前で声援が飛ぶ。現地組からも、この目で観られて本当に感動したという報告が相次いだ。

©MIXI

しかも、ドラマはそこで終わらない。勝利の直後、人気キャラクター骸の獣神化・改が発表され、今度は骸好きを公言しているMCのりるきいが推しの新たな姿に再度号泣した。試合の決着と発表の喜びが地続きで、視聴者は勝った時より泣いていると笑いながら、一緒に喜んでいた。

対戦ではなく協力プレイの一勝を、会場と配信の全員が固唾をのんで見届ける。勝敗に本物の重さがあって、プレイヤーが本気で泣く。台本では作れない3時間だった。

発表を熱狂のショーに変える

新施策や進化の告知。モンストはその発表自体を演出として作り込んでいた。

©MIXI

この見せ方は、初日から始まっていた。ウィンディの獣神化・改は、「ガチャ SHOWTIME」のステージで、モンストの中の人・ゆかんさ〜がガチャを引く流れの中から明かされている。発表がステージ企画の一部となっている。2日目の同ステージにはDJ KOO(TRF)が特別ゲストで登場。その場で引いたガチャの引きの強さに、コメント欄では「福の神」と呼ばれていた。

そして2日目の熱狂は、「モンストニュース」で最高潮に達する。TVアニメ「呪術廻戦」コラボ第3弾の開催が発表されると、会場では客席のざわめきが途切れなかった。フィナーレに向かう流れの中で、突如作中キャラクター・天元のナレーションによる凝った演出とともに、第1弾で登場した虎杖悠仁・七海建人・五条悟の、コラボキャラクター初となる真獣神化が明かされる。

さらにフィナーレでは、多くのファンが待ち続けたアルセーヌとソロモンの獣神化・改を、まさかの2体同時、しかも互いに共闘するシーンが描かれたMV仕様のイラストも発表してみせた。アルセーヌを照らし出すスポットライトの使い方が秀逸だったという声も上がっている。

©MIXI
©MIXI

コメント欄は「公式の手のひらで踊らされた」「過去一のニュース」で埋まった。13年目で同時接続30万超えと驚くような書き込みも。発表はこれだけではない。2日目だけでもイゾルデやポラリスら計7体の獣神化・改と、ランスロットとランスロットXの真獣神化が一挙に明かされ、2027年放送の新作アニメはティザー映像が会場で初公開された。ただ情報を出すのではなく、「発表の仕方で本気で盛り上げようとしている。」コメント欄のその一言が、いちばん的確だった。

しかも、このような形での発表は今年が初めてではない。一昨年のDREAMDAZE Ⅱではステージから客席へ行動を促し、観客自身を発表演出の一部にしてしまう仕掛けをつくり、コラボのサプライズ発表を行った。昨年のⅢではカウントダウンの演出に作品要素を組み合わせ、コラボのサプライズ発表を行った。人気IPをただ告知するのではなくIPを起点にしたサプライズ演出でファンを何度も盛り上げてきたのが、モンドリという祭りの伝統なのだ。

発表は翌日にはもう動き出す。アルセーヌとソロモンのMV仕様のイラストが初登場するガチャが始まり、13周年へ向けた無料の「選抜!13周年人気投票ガチャ」の投票も開始。今年の人気投票ガチャは確定枠が合計2枠に増え、また投票したキャラクターがデザインされた画像を保存して、Xに添付できるようになっていた。

アルセーヌとソロモンの新イラストから推しの一枚を選んでXに投稿するキャンペーンに至っては、発表当夜の22時スタート。発表から実装、次の施策までが一本のショーとして設計されている。情報を感情の起伏に変える技術。これがモンストの熱狂の大きな装置だった。

コラボへの向き合い方もほかとは違う。TVアニメ「呪術廻戦」コラボは今回で第3弾。第1弾のキャラクターが真獣神化し、第2弾のキャラクターが獣神化・改になる。新たに乙骨憂太、脹相、禪院真希などがガチャで登場、コラボスターターパックやクエスト報酬でキャラクターを獲得できる導線も揃えた。アプリより先にガチャが引けるモンストWebショップの先行販売はコラボでは初めて導入し、開催は発表のわずか2日後、7月14日から。人気IPを一度きりで消費せず、回を重ねるごとに育てていく。

その姿勢は自社キャラクターにも徹底されている。アルセーヌとソロモンはお正月仕様も獣神化・改が可能になり、ランスロット、ランスロットXは夏仕様も真獣神化する。季節限定の姿さえ置き去りにしない扱いに「キャラクターを大切にしてくれてありがとう」という声が上がった。

そして2日間のステージからは、2027年の新作アニメ、文化放送で10月に始まるラジオ番組、10月の13周年に向けたカウントダウンが発表された。ファンにも、コラボ作品にも、自社のキャラクターにも、この先も一緒にやっていくと示し続ける。その積み重ねが熱をつなぎ止めている。

観客を「観る人」から「参加する人」へ

ステージの作りにも、一貫した思想があった。来場者と配信の視聴者はwebシステムのDD-LINKを使い、手元のスマホでステージへ介入していく。ただイベントを見るだけの時間が、ほとんどない。「どっち!どっち、どっち!? 〜モンスト多数決ショー〜」では、ザ・たっちのMCのもと、兎田ぺこら(ホロライブ)と壱百満天原サロメ(にじさんじ)が出演。★5〜6を多く引くのはどっちか、といったお題の結果を来場者だけではなく、視聴者もその場で予想して投票する。的中させた量に応じて、後日ゲーム内アイテムまで配られる仕掛けだ。

普段は別々の場所で活動する二人の人気VTuberが同じステージに並ぶ顔合わせ自体も話題で、登場シーンのタイムスタンプはコメント欄で共有され続けた。「みんなでマルチ!目指せ運極!」では、スクリーンに「視聴者マルチ」の文字と実際のゲーム画面、そして「総運極ゲージ」。画面の向こうの視聴者までマルチプレイで同じクエストに加わり、0から7000までのゲージを全員で埋めていく。

タイガー桜井らのMCで進んだ「ガチメタ!」では、ルルネーヴェ、しろ、みるくてぃ。、宮坊ら16人が4チームに分かれ、タイムアタックで激突。各チームのボイスは出演者それぞれのチャンネルの配信でも聴けるようになっており、推しチームの掛け合いを選んで観戦できるこの仕組みが好評で、コメント欄では来年も続けてほしいという声が上がった。

©MIXI

謎解き企画「モンスト謎解き -リドラからの挑戦状-」では、謎解きクリエイター集団リドラが作った問題に、てつや(東海オンエア)ら登壇者が頭を捻り、視聴者と来場者もDD-LINKで解答に参加できた。全員参加型の「モンスト大喜利」に至っては、おもしろい回答が出るたびに会場のゲージが溜まっていく仕組みで、来場者も回答者に回れる。

コメント欄には「それぞれの企画のクエストミッションが全部良かった」という総括も。もはや客席も出演者だ。ファンは席に座ったまま、演者と同じ盤面に手を伸ばしている。

もう一つ、他のイベントであまり見ない光景があった。運営の見せ方だ。普段はMIXIのオフィスで働く社員、いわゆる”モンストの中の人”が、タレントやYouTubeクリエイターと同じ列に並んでステージに立つ。一人ひとりが、一個のキャラクターとして扱われているのだ。

それがファンにどう届いているかは、コメント欄での反応が教えてくれる。モンストの中の人が、本名ではなくニックネームで呼ばれており、2日間の企画のMCや実況の多くも、中の人たち自身が回していた。彼らは告知のときだけ現れる広報ではなく、日頃から配信や動画でファンと顔を合わせてきた面々だ。だから客席は彼らを初対面ではなく、再会として迎える。初日、骸の獣神化・改に泣いたのがMCのりるきいだったように、中の人自身も、このゲームの一番のファンでもある。要するに、運営そのものが推せるのだ。

音楽が記憶を束ねる

モンストは音楽にも本気の熱を感じる。「MONSTER STRIKE ORCHESTRA 〜OverDrive〜」は、オーケストラに合唱隊、ロックバンド、ハープまで重ねた総力戦だ。アムネディアを含む破界の星墓など、プレイヤーなら聴き込んだクエスト楽曲が生音で鳴る。セトリも攻めていて、プログラムは両日で別物。初日は「超絶・歪なる契約者」や「天魔の孤城 空中庭園 メドレー」、2日目は破界の星墓EXインゼムニアのBGMや「黎絶・怖畏ナル罪過」にまで踏み込んだ。インゼムニアが始まった瞬間の客席のどよめきは、配信のコメント欄でも話題になっている。

©MIXI

両日とも、超究極・傑チェルノボグの「絶対狂愛エゴイスト」を椎名ひかりが歌い上げた。背景の額縁スクリーンではオラゴンが曲に合わせて表情を変える。演奏の間はあえて声を出さず、静かに聴き入るのがこの客席の流儀らしく、それがありがたいという声も、オーケストラだけでチケット代の元が取れるという声も。終盤にはオーケストラでありながら、客席と声を交わすコール・アンド・レスポンスの時間まで挟み込まれた。そして両日ともプログラムの最後を飾ったのは、モンストの新メインテーマ。「涙腺が壊れた」という書き込みが並んだ。

©MIXI

音楽をテーマにしたスピンオフプロジェクト「モンソニ!」のライブも2日にわたって行われた。初日の「モンソニ!LIVE THE ONE」は、ヤバい女子高生たち、の「校則違反」で幕を開け、客席がコール&レスポンスで応えた。全11組のアーティストが登場し、初参加となるCALEzMAが「REALizE」でライブを締めくくった。

2日目の「モンソニ!LIVE OUR VIBES」は全14曲。この日は、さよならグラビティの新曲「切なさにトリップ」がサプライズで初披露された。さらに骸の新曲「Lux negata」も、初日のM4の勝利直後に発表された獣神化・改を受けて、この舞台で初めて届けられた。

客席では曲ごとにペンライトの色が移り変わり、会場全体が楽曲の世界観に染まっていった。「モンソニ!」のライブを初めて体験した人からも好意的な声が多く寄せられていた。

 

「AIボール絵メーカー」来場者がモンストのキャラクターに

会場のフロアの目玉は、今回初登場の「モンストの世界へようこそ!AIボール絵メーカー」。

AIボール絵メーカーの会場展示AIボール絵メーカーの体験画面

参加方法は驚くほど手軽で、グリーンバックの前でスマホで写真を1枚撮るだけ。するとその1枚をもとに、AIが自分の写真をモンスト風のボール絵イラストへと変換・生成する。ミニゲームが始まる前には、そのボール絵がガチャの金卵から排出される演出まで入る。

つまり来場者自身が、ボール絵となってイベント限定のミニゲーム画面に登場するのだ。ゲームを遊べばクリアタイムとターン数が表示され、結果にかかわらず自分のボール絵入りアクリルキーホルダーを持ち帰れる。1回1,800円の有料コンテンツで、参加には入場後の整理券が必要な先着制。整理券は短時間で捌け、早々に売り切れる人気ぶりだった。

写真1枚で、誰でもモンストの世界観に飛び込める。イベント限定で終わらせるにはもったいない仕組みで、ファンサービスにもプロモーションにも広げようはいくらでもあり、ここには大きな展開の可能性を感じた。

会場は仲間と会う場所になる

フロアには他にも、金色のカプセルがぎっしり詰まった巨大な「スーパービッグガチャ」(レバーを引いて回す実機で、ミニフィギュアやミニアクリルスタンドが当たる)、BIGぬいぐるみやビニール傘が当たるグッズくじ、描き下ろしイラストを使用したグッズなどを販売するDD STORE、HUBとのコラボドリンクが並び、出演者と写真撮影ができる「Meet & Greet! in DREAMDAZE Ⅳ」、コスプレイヤーと一緒に写真を撮れる抽選制の「コスプレイヤー SPECIAL PHOTO SESSION」、水鉄砲で撃ち合う無料の「モールスαのウォーターサバイバル」まで開かれた。

ステージの運試し企画「大運試し」は、来場者だけでなく配信の視聴者も参加できる設計だ。当選者だけが渡れる無人島「モンス島」への招待や、実物のオーブ2026個なんて賞品が、画面の前の人まで当事者に変えていく。また、★6モンスターを描き下ろしデザインへ変更できる来場特典や、飲食1,000円ごとにもらえるステッカーまで、足を運んだ人だけの持ち帰りが細かく用意され、来場者は会場を回遊しながら、自然とすれ違い、混ざっていく。

「会場のみんな、人が良くて心地よかった。」「来年、また会いましょう。」などコメントでも暖かな空気が流れており、配信者と初めて対面できた喜びや、推しのコスプレイヤーを見られた感激。地方から毎年画面越しに参加してきて、いつか現地でと願う人や落選の悔しさを綴る人がいて、月曜はモンドリロスでアーカイブとモンソニをヘビロテしてしまうという人がいる。

モンドリは、ゲームの祭典であると同時に、同じものを好きな人間が一年に一度顔を合わせる、同窓会のような場所になっていた。熱狂はステージの上だけで生まれるのではなく、客席と客席のあいだにも確かに流れていた。

なぜ、熱は止まらないのか

答えは一つではなかった。本気の競技が生むドラマ。発表すらショーに変える設計。観客を当事者にする仕掛け。顔の見える作り手。12年分の記憶を束ねる音楽。ファンもIPも使い捨てにしない姿勢。そして、会場に生まれる人と人のつながり。

©MIXI

それらが同じ会場で、同じ時間に、いくつも同時に起きている。だから熱は、誰かから与えられるものではなく、その場で混ざり合い大きくなっていく。サービス開始から12年、この秋に13周年を迎えるゲームの祭典に、昨年をさらに超えたという声が続く。ここまで盛り上がって来年は大丈夫なのか、と心配する書き込みすら、もはや毎年の恒例になりつつある。

この熱狂を設計した人たちが、裏で何を考えていたのか。それは続く取材で確かめたい。

「モンストの中の人」モンドリ終了後のコメント

こちらの動画も是非お楽しみください!【モンスト】初期メン降臨!懐かし話から周年イベントの裏話まで!