サッカーを題材にしたゲームで国の代表同士が競う、FIFA公式のeスポーツ大会「FIFAe Finals 2026」が開幕前日に延期された。サウジアラビアのジッダで10月16日から25日まで開かれる予定だったが、FIFAとサウジeスポーツ連盟は15日、地域情勢と大会運営への影響を踏まえて延期を発表した。
本大会の予選には、過去最多となる120以上の国が参加しており、その頂点を決める舞台が直前で止まった形だ。新たな日程や開催地は、本稿執筆時点で示されていない。
日本代表は大会側より先に不参加を決めていた
きっかけは、10月10日にリヤドの国際空港で起きた攻撃だ。ロイターによると少なくとも12人が死亡、300人以上が負傷し、イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行を表明した。
同じ日、日本サッカー協会(JFA)は現地情勢と安全面の情報を総合的に検討した結果として、同大会内で行われる「FIFAe World Cup 2026」への参加見送りを発表した。ロイターによればブラジルも同日に撤退を決めており、移動ルート上の空域や空港のリスクを理由に挙げたと報じられている。
日本は『eFootball』のコンソール部門とモバイル部門の両方で出場権を得ており、Ax選手とTess選手(DRX)、えーおー選手とFuga選手(DOPENESS)の4人が代表に選ばれていた。8月にマレーシアで行われたアジア予選を勝ち抜いて手にした切符だった。
サウジ開催の国際大会が相次いで見直しに
今回の延期は単発の出来事ではない。FIFA公式のサッカーeスポーツ世界大会は2023年から3年続けてリヤドで開かれ、サウジは定番の開催地になっていた。
しかし2026年に入ると、イランをめぐる戦争の影響でリヤドの空港が攻撃を受けるなど、地域の安全は大きく揺らいだ。賞金総額7500万ドルの「Esports World Cup(EWC)」は5月、開催地をリヤドからパリへ移すと発表し、7〜8月に初めてサウジ国外で開かれた。
同じ主催団体が11月にリヤドで初開催する予定だった国別対抗戦「Esports Nations Cup(ENC)」も、8月に2027年11月への延期が決まった。影響はeスポーツにとどまらず、2027年1月にサウジで開幕予定のサッカー・アジアカップについても、アジアサッカー連盟(AFC)は必要なら2028年への延期もあり得るとしている。
政府系ファンドの資金を背景に、サウジは大型大会を次々と招致・創設してきた。だが開催地が集中していたぶん、情勢が悪化すると複数の大会が一斉に移転や延期を迫られることになった。
日本選手の国際舞台はどこへ移るのか
日本の選手にとって切実なのは、国を背負って戦う場がどこに残るかだ。
中東以外にも国際舞台は残っている。9月下旬から10月初めに愛知・名古屋で開かれたアジア競技大会では、eスポーツ日本代表が金2、銀2、銅1の計5個のメダルを獲得し、『eFootball』でも銅メダルを手にした。12月には米ロサンゼルスで世界eスポーツ連盟主催の「グローバルeスポーツゲーム2026」が予定されており、日本は『eFootball』などで出場を目指す代表選手を決めている。
一方、FIFAe Finalsの代替日程や予選結果の扱いは決まっていない。延期後の大会に日本が出場できるのかも明らかではなく、勝ち取った出場権は宙に浮いた形だ。
EWCの主催団体は、パリ開催をサウジ以外への展開を前倒ししたものと説明しつつ、リヤドを今後も本拠地とする姿勢を崩していない。中東マネーはこの数年でeスポーツの国際大会を一気に大きくしたが、開催地が一つの地域に偏れば、情勢ひとつで選手の出場機会がまとめて失われかねない。
開催地の分散が進むのか、再び中東に戻るのか。日本の選手が国際舞台に立てるかどうかは、その行方に左右されることになりそうだ。














