PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」で動いた金額が、2026年に入って約8カ月で150億ドル(約2兆3400億円、1ドル=約156円換算)に達したとの推計を、ゲーム市場調査会社のAlinea Analyticsが公開した。
前年同期比で約15%増、8カ月間だけで2023年の年間売上を上回った結果だ。同社は通年で初めて200億ドルを大きく超えると見ている。
「Steamの売上」は誰の売上なのか
150億ドルは、Steamを運営するValveが手にした金額ではない。Steam上で動いた総額、いわゆるグロス売上である。有料タイトルの販売額に加え、基本プレイ無料タイトルのゲーム内課金も含む。Steamは売上の30%を手数料として徴収し、累計販売額が1000万ドル、5000万ドルを超えると25%、20%へと下がる仕組みを採る。2兆3400億円の多くは、世界中のパブリッシャーや開発者に渡る取り分だ。
もう一点、これは推計値である。Valveは非公開企業で売上を公表しておらず、流通するデータはいずれも調査会社がプレイヤー数やレビュー数から逆算したものだ。ただし右肩上がりの傾向自体は複数社の推計が一致しており、Alineaは2017年に約55億ドルだったSteamの年間売上が、2025年には200億ドル近くまで伸びたとしている。
新作は好調、それでも全体の16%
2026年の新作で最も売れたのは、5月19日発売の『Forza Horizon 6』で売上は2億1050万ドル(約328億円)。以下、『紅の砂漠』が2億330万ドル、『バイオハザード レクイエム』が2億90万ドル、『Slay the Spire 2』が1億4840万ドル、『サブノーティカ2』が1億3920万ドル、『めっちゃカメレオン』が8980万ドルと続く。
ただし、上位6本を合計してもSteam全体の6.6%にすぎない。新作トップ100まで広げても約24億ドル、全体の15.9%だ。8カ月で1万9000本もの新作が投入されながら、売上の8割強はトップ100圏外の新作と過去のタイトルが積み上げている計算になる。
新作トップ100の内訳では、本数の63%が新規IPだったが、売上の52.5%は既存IPが占めた。しかも新規IP側の売上は『紅の砂漠』1本で約18%を占めており、これを除くと残る62本で新作トップ100の売上の約39%にとどまる。ヒットの重心は、依然として実績のあるシリーズ側にある。
「中堅の台頭」の正体は旧作の値引き
近年のPC市場では、大作偏重が緩み中堅タイトルに売上が回り始めたという見方が広まっていた。売上101〜1000位の900本を調べると、83%が2026年より前の作品で、3分の2は発売から2年以上経過していた。累計売上5000万ドルを超える大作だけで、この層の2026年売上の51%を占める。
つまり中堅に見える帯の実態は、かつての大作が値引き販売で長く売れ続けている姿だという。市場は今もヒット主導型であり、ただしそのヒットの相当部分を「昔の大作」が占めている、という構図である。
日本発の存在感という補助線
この巨大な売上表には、日本発のタイトルも確実に食い込んでいる。カプコンの『バイオハザード レクイエム』は上位3本に入り、インディー開発者による『めっちゃカメレオン』は6ドル前後という低価格ながら上位6本に並んだ。9月4日には『鬼武者 Way of the Sword』も発売されている。
かつて日本の家庭用ゲーム市場と距離があったSteamは、いまや国内タイトルの主戦場の一つだ。旧作が長く売れ続ける市場特性は、カタログを持つ日本のパブリッシャーにとってむしろ追い風になりうる。














