サイバーエージェントは、社内における開発AIエージェントの導入支援開始から1年を機に、これまでの振り返りを発表した。「2028年までに全社の開発プロセスを完全自動化する」という目標のもと、開発AIエージェントの導入に年間約4億円を投資する方針を掲げ、開発業務に携わるエンジニア約1,200名を対象に、1人あたり月額200米ドルの導入費用をサポートする制度を導入していた。

制度導入から1年が経過し、Claude CodeやCodexなどの開発AIエージェント活用が急速に拡大。一部の開発組織では開発量が約2倍に増加し、ゲーム部門ではモック制作量が約3倍速となる事例も生まれている。活用は個人単位のコーディング支援にとどまらず、要件定義、設計、実装、コードレビュー、テスト、ドキュメント生成、運用改善など、開発プロセス全体へと広がっているという。

従来はエンジニアがエディタ上でコードを記述しながらGitHub Copilotによる補完を受ける開発スタイルが中心だったが、現在はAIエージェントに実装やテストを依頼し、生成された成果物をレビュー・改善するスタイルへと変化。GitHub Copilotによるコード補完生成回数はこの1年間で約75%減少し、開発者の利用はコード補完中心からAIエージェント中心へと大きく移行した。なお、回数の減少はAI活用の縮小を意味するものではなく、GitHub Copilot AgentやClaude Code、CodexなどのAIエージェント活用の拡大に伴い、開発スタイルが移行したことによるものだという。一方、Claude CodeやCodexのライセンス数および利用トークン数は大幅に増加しており、AIエージェントは開発現場の日常的なインフラとして定着し始めているという。

この1年で各事業部において確認された主な成果としては、開発量が2倍、モック制作量が3倍速、監視業務が10倍高速化、仕様書作成工数が70%削減、実装工数が50%削減といった数値が挙げられている。

サイバーエージェント 専務執行役員(技術担当) 長瀬 慶重 氏 コメント

この1年は、サイバーエージェントにとって「AIエージェントが開発現場に定着した1年」でした。昨年、開発組織における生成AI活用を加速するため、AIエージェント活用に対して年間約4億円規模の投資を想定していました。しかし、開発現場での活用は私たちの想定を大きく上回るスピードで拡大し、投資規模も当初の計画を大幅に超える水準となりました。その結果、一部の開発組織では開発量が約2倍に増加し、ゲーム部門ではモック制作量が約3倍になる事例が出るなど、さまざまな成果が生まれています。また、活用の中心も大きく変化しました。コード補完を中心とした利用から、設計、実装、検証まで含めてAIエージェントが開発プロセス全体を支援する形へと進化しています。私たちは、この変化を単なる生産性向上ではなく、ソフトウェア開発そのものを変革する大きな転換点だと捉えています。
一方で、この1年間の取り組みを通じて新たな課題や学びも見えてきました。AIによって開発速度が飛躍的に向上する中で、レビュー工程の負荷をどのように最適化するか、AIを前提とした開発ワークフローをどのように再設計するか、そしてAI活用をさらに促進しながらコスト拡大とのバランスをどう取るかといったテーマは、今後の重要な経営課題であると考えています。サイバーエージェントは、これらの課題に向き合いながら、AIを前提とした新たな開発組織への進化を進めていきます。そして「2028年までに全社の開発プロセスを完全自動化する」というビジョンの実現に向け、AIドリブンな開発のさらなるフェーズへ挑戦してまいります。