OpenAIは「知能の時代」において富と労働がどのように再構築されるべきかを示した一連の政策提言を発表。新たな産業政策の枠組みから、税制の近代化、さらには医療保険や退職貯蓄へのアクセス拡大に至るまで、多岐にわたる内容が含まれている。

同社が提案する枠組みは、3つの明確な目標ーー「AIがもたらす繁栄をより広く分配すること」「システミックリスク(システム全体に及ぼす可能性のあるリスク)を軽減するための安全策を構築すること」「経済力や機会が過度に集中しないようAIの機能への広範なアクセスを確保すること」ーーを中核としている。

OpenAIは、AIの普及により企業が雇用する労働者の必要性が減少するにつれ、課税基盤を見直す必要があると主張。法人所得、AIによる収益、あるいは富裕層のキャピタルゲインに対する増税や、ロボット税の導入にも言及した。

このほか、金融市場に投資していない人も含め、全ての米国民がAI主導の経済成長に持ち分を持てるようにする「公共資産基金」の設立や、給与削減なしの週4日勤務制に対する助成、社会的セーフティネットの拡充、電力網への投資を含むAIインフラ整備の加速なども提案。AIを公益事業のように扱うべきで、その実現に向けてAIが少数の企業に独占されることなく、手ごろな価格で広く利用できるよう、産業界と政府が協力すべきだと強調している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「週4日勤務への助成、給与削減なし——OpenAIが提言したこの政策は、AIによる生産性向上の果実を労働時間の短縮という形で分配しようとする試みだ。AIが単純作業を代替するほど、人間の労働の「意味」と「量」が問い直される。エンタメ産業は特にこの変化の最前線にいる。脚本、映像編集、音楽制作、マーケティング——これらの領域でAIが担う役割が急速に広がっている。SAG-AFTRA(米国映画俳優組合・テレビ・ラジオ芸術家連盟)が「Say No to Suno」に署名し、WGA(米国脚本家組合)がAI規制を求めて交渉した背景には、クリエイターの雇用への危機感がある。「AIがもたらす繁栄をより広く分配する」というOpenAIの言葉が、実際の政策に落とし込まれるかどうか——エンタメ産業のクリエイターにとって、これは抽象的な議論ではない。ロボット税や公共資産基金の財源をどこに求め、誰に配分するかという細部が、業界の未来を左右しそうだ。」