世界で5億人が利用するオンライン署名サイト「Change.org」は、創業19年目を迎えるに当たり、経営陣とプラットフォームを刷新。地域レベルの問題に焦点を当てると同時に、自己資金1億ドルをAIを活用したツールの開発に投じることで、より請願者の声が届く環境

同サイトのAIアシスタントは、最も説得力のある表現を用いるよう請願文を書き直すことができ、効果的な政策ソリューションやキャンペーン戦略の立案も手助け。サブレディットやFacebookグループをくまなく調査し、見落とされてしまう可能性のある署名候補者を特定する。また、AIと人間の力を組み合わせ、適切な公職者を特定し、面会を仲介することで、数百万件の署名をより効果的に活用することも目指す。

今回のリブランディングにおいて特に興味深いのはソーシャル動画の取り入れで、TikTokのリンクをChange.orgのAIツールに貼り付けることで、ユーザーは当該動画を即座に請願文に組み込むことも可能だ。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Change.orgは、誰でも署名キャンペーンを立ち上げられる世界最大級の請願サイトで、利用者は5億人。日本でも企業や行政の方針を変えた事例がいくつもある。2007年の創業以来、SNSと二人三脚で育ち、「拡散して数を集める」仕組みとしては頂点を極めた。だが限界も見えていた。署名して満足して終わる「スラクティビズム」という批判が常につきまとい、集まった数百万筆が意思決定者に届かず眠ることも多かった。今回の刷新が面白いのは、AIの使いどころを「集める」ではなく「届ける」に置いた点だ。請願文を説得力ある表現に磨き、適切な公職者を特定し、面会の仲介まで目指す。TikTok動画を請願に組み込める機能は、若い世代の怒りや共感を行動の書式に翻訳する試みといえる。SNSが動員を民主化したとすれば、AIは交渉を民主化するのか。署名活動のDXの次章として注目したい」