ゲーム音楽の出版権は「エンターテインメント業界の歴史上、最大の未収益化資産」ーー。
サウンドトラック・レーベル「レイクショア・レコーズ」社長で、ゲーム『サイバーパンク2077』の音楽監修も務めたブライアン・マクネリス氏がこうした見解を明らかにした。Digital Music News(DMN)が伝えた。
米カリフォルニア州バーバンクで開催された世界最大級のゲーム音楽・サウンドデザインのカンファレンス「ゲームサウンドコン」(GameSoundCon)が10月20〜21日に開催。パネルディスカッション「買収の舞台裏:ゲーム作曲家の生涯にわたるロイヤリティ」では、作曲家の印税問題が議論された。
マクネリス氏は、未収益化資産となっているのは、アーティストの権利の問題だと指摘。Netflixでの番組ストリーミングと、Xboxなどでのゲームストリーミングは同じ仕組みで機能するが、映画・テレビの作曲家は演奏使用料を得ている半面、ゲームの作曲家の多くは得ていないと話す。
例えば、人気ゲーム『フォールアウト』では、Prime Videoの実写ドラマ版の音楽を手がけた作曲家ラミン・ジャワディは、Amazonの『フォールアウト』シリーズが再生されるたびに演奏使用料を受け取るが、ゲームの音楽を担当したイノン・ズールは同等の収入を得ていない可能性が高いという。
パネルではこのほか、楽曲登録の抜けが収益損失の原因であるため、委託制作契約時には、サントラ・アルバムの収録曲だけでなく、全ての楽曲を登録する契約条項を盛り込むことが重要との助言が共有された。また、新たにライセンス供与されたPlayStationおよびGamePassのストリーミングは、その背後にある評価や分配モデルは依然として残っているものの、ゲームにおける演奏使用料の収入源が実現可能であるという最初の兆候だとの見方も示された。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「ゲーム音楽が買い切り中心になったのは、生い立ちによる。初期のJASRACにはゲーム専用の使用料規程がなく、映像ソフト向けの「音楽1分あたり7円」の複製使用料が準用された。この負担を避けるため、ゲーム会社は社内での作曲や外部作曲家からの権利買い取りを進めた。開発費の大半をプログラムやグラフィックが占めるゲームで、映画並みに音楽の比重を前提とした料率は馴染みにくく、会社側にも正論があったがこれは米国でも事情は同じだった。JASRACではゲーム専用の規程は1996年に新設。そして今、同じようにネット経由で届くのに、ドラマの作曲家には演奏使用料が入り、ゲームの作曲家への還元には格差が残る。米国ではBMIがPlayStationやGame Passと契約し分配を始めたが、ゲーム内の楽曲は場面次第で再生が変わるため、実績の把握や登録の整備はこれからだ。制度があっても作り手に届きにくい構造をどう変えるか、議論の本丸はそこにありそうだ。」














