テレビ番組・映画をマイクロシリーズ(スマートフォン向けの縦型・短尺のストーリーコンテンツ)に変換するAIプラットフォーム「Snips」が8月18日にサービスを開始した。
マイクロドラマ市場は定型化された専用コンテンツを制作する中国系事業者が支配してきたが、Snipsは「正式なライセンスに基づき、透明性を確保し、スタジオと提携したビジネスモデルを採用する初の非中国系プラットフォーム」。既に世界最大級のコンテンツ制作・配給会社である仏バニジェイ・エンターテインメントおよび米ビッグ・メディアとコンテンツ契約を結んでいる。
Snipsはオリジナル制作ではなく、ライセンスを取得したスタジオのライブラリコンテンツをマイクロシリーズに変換する。自社開発のAIを活用し、長編番組や映画を各45秒〜2分程度の縦型マイクロエピソード約60本に分割。その際、ストーリーの順序やトーンなどを維持しつつ、毎話引きのある展開で締めくくる。知的財産(IP)所有権はスタジオが保持し、Snipsは収益を還元。作品ごとの視聴完了率やエンゲージメントデータをスタジオに提供する。
マイクロドラマの台頭により中国の撮影現場は活況を呈していたが、「SeeDance 2.0」などAI動画生成ツールの登場により、実写制作本数が激減。中国国営メディアによると、今年1〜3月に公開されたマイクロドラマ12万本超のうち95%がAI生成だった。俳優たちが仕事を失う中、AIエディター、プログラマー、脚本家などの求人が増えている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「Snipsの仕組みで興味深いのは、単なる切り抜きではない点だ。AIが長編の物語の順序とトーンを保ちながら、約60話に分割し、しかも毎話を「引き」のある場面で締めくくるという。つまり、2時間の映画を、連載小説の文法に翻訳し直すのである。思えば物語の器は、時代の読まれ方に合わせて姿を変えてきた。新聞連載が毎回の引きで読者を翌日につなぎ、テレビドラマがCM前に山場を置いたように、器が語りの技法を作ってきた。スマホの縦画面という新しい器に合わせ、既存の名作を再編集する——これは翻訳に近い創作行為で、その工程をAIが担うところに現在地がある。もちろん、作品の完全性を重んじる作り手には議論もあろう。原作の呼吸を保てるかは、AIの腕と運用の丁寧さ次第だ。ただ、映画がテレビ放映で、ドラマが配信で新しい観客を得てきた歴史を思えば、器の翻訳は作品の寿命を延ばす道でもある。物語の形は、また一つ増えようとしているのかもしれない。」














