Riot Gamesは2026年8月21日(米国時間20日)、基本プレイ無料の対戦格闘ゲーム『2XKO』について、積極的な開発を2026年末で終了すると発表した。
理由に挙げたのは収益の不足ではなく「プレイヤーの定着」だ。多くのユーザーが同作品を触ってみたものの、、サービス維持に必要な水準には届かなかったという。
10年を投じ、正式リリースから7カ月で撤退
本事例の起点は2016年3月にさかのぼる。Riotは格闘ゲーム大会「Evo」を共同創設したトム/トニー・キャノン兄弟が創業したRadiant Entertainmentを買収した。2019年に対戦格闘ゲーム「Project L」として発表し、2024年に『2XKO』へ改称。2025年10月のPC早期アクセスを経て、2026年1月に正式リリースとPS5/Xbox Series X|S版展開にこぎ着けた。
投下期間は約10年。だが正式リリースから3週間後の2026年2月には開発チームの縮小を発表し、米Game Developerは約80人が影響を受けたと報じた。そしてリリースから7カ月後の今回、新規開発そのものを打ち切る。
基本無料が要求する「最低母数」
Riotは2026年を通じて収益に加え定着率、新規参入、エンゲージメントを検証したが、新チャンピオンやPvEモードを投入しても状況は持続的に改善しなかった。運営コストは収益を上回り、大型アップデート後もエンゲージメントはほぼ横ばいだったという。
注目すべきは、基本プレイ無料を採る以上、「維持に最低限必要なプレイヤー数」が存在することを開発当初から織り込んでいたと同社が明かした点だ。F2Pは無料で門戸を広げる販促手法ではなく、一定規模の母数を維持し続けることに賭けるモデルである。対戦相手のマッチングが体験の質を直接左右する格闘ゲームでは、この要件はより厳しく働く。
MultiVersusと同じ結末
同じ帰結は直近にもある。ワーナー・ブラザースの『MultiVersus』は2024年5月の正式リリース後、2025年5月30日(現地時間)にオンラインサービスを終了。開発元のPlayer First Gamesも同年2月に閉鎖されたと報じられている。
2XKOはより長い開発期間と、ロールバックネットコードの系譜を汲む通信基盤を備えていたが、結論は変わらない。IPの知名度は初期流入に効いても、定着は保証しない。
買い切り型は700万本を積み上げた
ここで対照的なのが、「買い切り型」というセールス形式だ。カプコンは2026年6月、『ストリートファイター6』の全世界販売本数が700万本を突破したと発表。同年8月7日にはアークシステムワークス開発の『MARVEL Tōkon: Fighting Souls』が発売された。4対4のタッグ制と2XKOに近い設計だが、こちらも買い切りである。
先に収益を確定させ、追加キャラクターの販売で寿命を延ばす。母数が縮んでも事業構造は壊れない。この違いが両者を分けたのではないか。
競技的成功は事業を救わない
2XKOは競技面では成立していた。大会エントリー集計によれば、6月の「Evo 2026」のエントリー数は1080人で全12種目中3位。それでも事業は立たなかった。eスポーツの可視性は事業KPIの代替にならない。
Riotは8月21日以前のKOポイントとスターターエディションの購入分を返金する。ただし日本・韓国サーバーは現地法令に基づく別対応とされ、詳細は今後告知される。9月には全チャンピオンを開放する一方、バトルパスやランクマッチを廃止して運営コストを圧縮。全カスタマイズ内容を収めた6000円のセットを新設したうえで、サーバーは維持する。「開発は終えるが、サービスは続ける」というこの中間状態の設計は、F2P撤退の新たな型として他社が参照することになるだろう。














