任天堂と株式会社ポケモンは8月14日、Nintendo Switch 2専用ソフト『ぽこ あ ポケモン』の世界累計販売本数が、発売後約4カ月で500万本を突破したと発表した。

3月5日の世界同時発売から、4日間で220万本、5週間で400万本という中間発表を経ての到達である。Switch 2の全世界累計販売台数は6月30日時点で2368万台。単純計算で、本体所有者の5人に1人がこのソフトを手にしていることになる。

バトルを外した『ポケモン』が売れている

数字そのものより注目すべきは、この500万本が「戦わないポケモン」によって積み上げられた点だ。

本作のジャンルはスローライフ・サンドボックス。プレイヤーが操るのはトレーナーではなく、ニンゲンの姿に変身したメタモンである。木や石から道具を作り、きのみを集めてポケモンたちと分け合いながら、何もなかった街を少しずつ豊かにしていく。ジムもリーグも、対戦相手も存在しない。

『ポケットモンスター』という作品を30年支えてきたのは、収集・育成・対戦という三位一体の構造だった。図鑑を埋め、レベルを上げ、他者と競う。この骨格は本編ナンバリングにおいて一度も外されたことがない。『ポケモンスナップ』や『ポケモン不思議のダンジョン』といったスピンオフ群は、その三要素のいずれかを部分的に緩めることで新鮮さを獲得してきたが、対戦という核まで完全に手放した大型タイトルは、そう多くない。

残ったのは「一緒に過ごす」という体験

興味深いのは、削ぎ落とした先に何が残ったかである。本作が保持したのは、ポケモンと同じ時間を共有するという感触だ。ゲーム内の時間は現実世界と連動し、天候が変わり、そこに暮らすポケモンたちの生活が続いていく。プレイヤーはその風景の一部として街を整える。

これは、初代『赤・緑』の草むらで最初のポケモンと出会ったときの感情に、遠回りして戻る設計だと言える。バトルは本来、その関係性を可視化するための手続きだった。手続きを取り払っても関係性が成立するのかという問いに、本作は500万本という形で応答してみせた。

『あつまれ どうぶつの森』が耕した土壌の上で

もちろん、この成功はポケモン単独の功績ではない。『あつまれ どうぶつの森』が2020年以降に可視化した、目標も締切もない生活シミュレーションへの需要が土壌としてある。『Minecraft』が定着させた「作る楽しさ」も同様だ。開発を株式会社ポケモン、ゲームフリークとともに担ったのがコーエーテクモゲームスであることも象徴的である。同社は『無双』シリーズや任天堂IPとのコラボレーションで、大量のキャラクターを扱う設計思想を蓄積してきた。

加えて、対戦を主役に据えないポケモン体験には先例がある。2016年の『Pokémon GO』は、街を歩いてポケモンに出会うという行為だけで世界的な社会現象を生んだ。あのとき示されたのは、「収集と遭遇の快楽が対戦から切り離されても自立しうる」という事実だった。『ぽこ あ ポケモン』は、その発見を据え置き機のパッケージタイトルとして再構成した作品だと位置づけられるだろう。