フランスの音楽ストリーミングサービスDeezerは4月20日、同プラットフォームで1日にアップロードされるコンテンツの中でAI音楽が占める割合が、全体の約44%に当たる7万5,000曲近くだと発表した。今年1月時点の6万曲(全体の約39%)から拡大。昨年11月は5万曲、9月は3万曲、1月は1万曲だった。
2025年に同プラットフォーム上では、1,340万曲以上のAI生成楽曲を検知・タグ付けした。Deezerの全再生回数の中でAI生成音楽が占める割合は1〜3%にとどまるが、そのうち約85%は不正再生によるものだった。
Deezerでは、AI音楽を検知・タグ付けし、アルゴリズムによるおすすめと編集プレイリストから自動的に除外。再生操作を検出した場合、ロイヤリティー支払いの対象から外している。これら既存の措置に加えて今回新たに、AI生成楽曲のハイレゾ音源の保存も停止した。
アレクシス・ランタニエCEOは「「AI生成音楽はもはや一過性の現象ではなく、配信数が増え続けている」とコメント。音楽業界全体が共に、アーティストの権利を守り、ファンのための透明性を高めるための行動を起こしてくれることを願っていると話した。同社はAI音楽の検出ツールの販売を開始している。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「9月3万曲→11月5万曲→1月6万曲→4月7万5,000曲——欧州の音楽サブスクDeezerへのAI生成楽曲の流入がほぼ直線的に増え続けている。IFPIが2026年グローバル音楽レポートの巻頭言でストリーミング詐欺を主要テーマとして取り上げたのは、この拡大速度が業界全体への警告を発するレベルに達したからだ。
全再生の85%が不正再生という数字は、AI楽曲の大半が詐欺目的であることを裏付ける。Deezerが1,340万曲以上を検知・タグ付けし、アルゴリズム推薦から除外し、不正再生に対してロイヤリティー支払いを停止する——これだけの対策を講じながらも流入が止まらない現実が、問題の深刻さを映し出す。
ハイレゾ保存の停止という新措置は、AI楽曲を「正規の音楽」として扱わないという明確な意思表示だ。AI検出ツールの販売開始は、この問題が一プラットフォームの課題ではなく業界共通のインフラ問題であることを認識している。毎年最大30億ドル(約4800億円)が失われるとされるストリーミング詐欺への対応は、もはや個社の問題ではない。
かつてファイル共有問題とその対策としてサブスクが誕生したように、音楽業界で起きているAI詐欺問題とその対策はコンテンツ業界の先行事例となっていきそうだ。」














