ゲーム市場調査会社のSensor Towerが10月に公開したレポートによると、2025年9月〜2026年8月に発売されたPC・コンソール向けゲームのうち、発売から30日間で有料販売本数50万本以上を記録した作品は76本にのぼった。前年同期の55本から約4割増え、その伸びをけん引したのがインディーゲームだという。
そもそも「AAA」「インディー」とは
ゲーム業界では、大手パブリッシャーが巨額の予算と大人数を投じて開発する大作を「AAA(トリプルエー)」、中規模の作品を「AA」と呼ぶ。AAAの開発費は数百億円規模に及ぶこともあるとされ、長らく市場の主役を担ってきた。対して「インディー」は、大手の資本に頼らず、少人数で開発される作品を指す。
レポートは、Sensor Tower傘下の分析サービス「Video Game Insights」の推計をもとに、Steam、PlayStation、Xboxでの販売本数を集計したもの。発売初月の50万本を、突出したヒットの目安としている。
ヒット作の4割超がインディーに
76本の内訳を見ると、AAAは27本から28本へ微増、AAは15本で横ばいだった。一方でインディーは13本から33本へと2.5倍に増え、AAAの本数を上回った。全体に占める割合は24%から43%に跳ね上がり、増えた21本のうち20本をインディーが占める。また、新規IP(完全新作のオリジナル作品)は35本あり、うち27本がインディー製だった。
販売本数でも、インディー作品の初月合計は6990万本と前年の2倍を超え、シェアは26%から38%へ拡大した。もっとも、AAAも合計8780万本と前年比38%伸ばし、シェアは48%と半分近くを保つ。インディーが大作の取り分を奪ったのではなく、市場全体のパイが広がったと見るのが自然だろう。
象徴は「フレンドスロップ」
伸びを象徴するのが、「フレンドスロップ(friendslop)」と呼ばれる安価なオンライン協力・パーティーゲームだ。作り込みよりも友人同士でにぎやかに遊ぶことを重視した作品群を指すスラングで、配信との相性の良さも人気を後押ししている。
代表例が、日本の2人組が開発した『めっちゃカメレオン』である。自分の体に色を塗り、背景に溶け込んで隠れるかくれんぼゲームで、価格は790円。推計では発売30日で1330万本を売り上げ、同期間に発売された全タイトルの中でも『バトルフィールド 6』に次ぐ2位だった。
ただし、インディーの増加分20本のうちフレンドスロップは4本にとどまる。残る16本の増加は、アヒルが主人公の『エスケープ フロム ダッコフ』や個人開発の『Megabonk』といった新規IPと、『Hollow Knight: Silksong』『Slay the Spire 2』など人気作の続編によるものだ。インディーのヒットは裾野が広い。
数字の裏にある「見つけてもらう」競争
追い風としては、Steamがユーザーの好みに合わせたおすすめ表示を強化していることや、配信で話題が広がりやすくなったことが考えられる。ただし、数字の読み方には注意も要る。集計はあくまで推計値であり、Nintendo Switchなど任天堂ハードでの販売や、基本プレイ無料のゲームは対象外だ。待望の続編2作が同じ期間に重なった影響も小さくない。
ヒットが増えた裏で、競争も激化している。2025年にSteamで発売された新作は2万本を超え、10月の体験版イベント「Steam Nextフェス」に並んだ体験版は7000本以上に膨らんだ。初月50万本を売る作品は、こうした膨大な新作のごく一部にすぎない。
レポートが映し出したのは、大作と小規模作品が共存しながら市場が広がっている姿だ。アイデア次第で少人数のチームが世界的ヒットを生める状況は、遊び手にとって選択肢の広がりを意味する。作り手にとっては、作品をいかにユーザーの目に届けるかが、いっそう重要な課題になりそうだ。














