シンガポール調査会社メディア・パートナーズ・アジア(MPA)は、日本のアニメーション産業に関するレポートを公開。2025年7月から2026年8月にかけて、アジアのストリーミングプラットフォームにおいて、アニメは他のジャンルよりも多くの月間視聴者を集め、Netflixにおける日本アニメ視聴時間は、過去3年間で同サービス全体の9倍のペースで伸びた。

MPAは今回、アジアの8市場を対象に調査。2025年7月から2026年8月におけるプレミアムVOD利用者の31〜47%がいずれかの月にアニメを視聴していたのに対し、追跡対象となった他7ジャンルの平均は26〜34%だった。

2026年上半期(1〜6月)のNetflixにおけるアニメ視聴時間は46億4000万時間と、3年前から39%拡大。同プラットフォームの総視聴時間の伸び率は4.5%で、アニメが総視聴時間に占める割合は3.6%から4.75%へ上昇した。その視聴時間の8割はライセンス契約に基づくライブラリコンテンツだが、MPAはNetflixが今年1月にMAPPAと提携したことを、自社所有のフランチャイズへの移行を示すものだと分析している。

MPAは、世界全体のアニメ関連支出が2030年まで年率約10%増加すると予測。日本を除くアジア地域と北米がけん引するとみている。また、今後はプラットフォームが制作資金を拠出し、スタジオが権利を保持するモデルが主流になると予想。「アニメの市場規模は既に確立されている」とした上で、制約となっているのは生産能力であり、需要や資本ではないとしている。

(文:坂本 泉)
榎本編集長「このレポートで最も戦略的な指摘は、ビジネスモデルの予測だろう。MPAは、「プラットフォームが制作資金を拠出し、スタジオが権利を保持する」形を、今後2年の基本シナリオと見る。従来の配信とアニメの関係は、大きく二つだった。既存作品の配信権を買うライセンス型と、プラットフォームが製作段階から資金を出すオリジナル型である。後者では、権利までプラットフォーム側が取得するケースもあった。また国内の製作委員会方式では、製作委員会に出資できない制作スタジオには権利が残りにくいことが、長年の構造課題とされてきた。新モデルでは、プラットフォームが制作資金を担いながら、作品の権利はスタジオ側に残す。MPAは、Netflixが今年1月にMAPPAと結んだ提携を、ライセンス中心から権利保有型へ移る動きの象徴として挙げた。優れた制作能力そのものが、交渉力に変わり始めた表れとも読める。制作を担ったスタジオも、育てた作品の果実を得る。その方向への変化として、続報を追いたい。」