1990年代後半から2000年代初めにかけて一世を風靡したメディアプレーヤー「Winamp」で知られるWinampグループ傘下の音楽ライセンス事業会社Jamendo Musicは6月29日、自社のコンテンツを無断でAI訓練に利用したとして、音楽生成AI「Suno」を相手に著作権侵害訴訟を起こした。Jamendoは同様の主張で、約1週間前に米半導体エヌビディアを提訴している。

Jamendoは、ルクセンブルクを拠点とする音楽プラットフォーム。ユーザーはインディーアーティストによる数千曲の楽曲を自由にストリーミング再生やダウンロードできる。個人利用向けの無料ストリーミングサービスであると同時に、クリエイター向けの商用ライセンス提供拠点としても機能している。

いずれの訴訟でも中心となっているのは、Jamendoが2019年ごろに自社のカタログから構築した5万5,000曲以上を収録した研究用コレクション「MTG-Jamendoデータセット」。同データセットは米著作権局に登録済みで、非営利の研究目的にのみ提供され、商業利用にはJamendoからの有料ライセンスが必要となる。

Jamendoは、Sunoが同社AIモデルを、エヌビディアが同社オーディオ生成AIモデル「Fugatto」「Audio Flamingo」を、それぞれ「MTG-Jamendoデータセット」を用いて学習させたとして損害賠償などを求めている。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「MP3時代の象徴だったWinampの子会社が、SunoとNvidiaを著作権侵害で訴えるという、タイムリープ感のあるニュースだ。
Winampは1997年に登場し、CDを買わずにパソコンで音楽を聴くMP3時代の幕開けを象徴したメディアプレイヤー。プレイリストや着せ替え機能を広め、ドットコムバブル絶頂期の1999年にはAOLに約8,000万ドル(当時約90億円)で買収された。
かつて「音楽をタダで聴く」文化の入り口となったブランドが、いまや「作品を無断で使うな」とAIを訴える側に回った点に、時代の巡り合わせを感じる。
今回訴えたWinampグループ傘下のJamendo Musicは、研究用に公開した5万5,000曲超のデータセットを争点とする。非営利の研究目的に限って提供したものを、Sunoが商用のAI学習に流用したと主張している。」