OpenAIは5月11日、組織のAIシステム構築・導入を支援する新たなコンサルティング会社「 OpenAI Deployment Company(DeployCo)」を設立すると発表した。企業顧客の獲得と収益化に向けた取り組みの一環で、企業がAI技術を導入する際に直面する課題に自ら対処する。

併せて、応用AIのコンサルティングおよびエンジニアリング企業Tomoroの買収を発表。同社エンジニア150人がDeployCoに加わる。彼らは企業に常駐し、最大の価値をもたらす実運用可能なAIシステムの設計、テスト、導入に取り組むことになる。

競合のアンソロピック(Anthropic)は5月6日、ブラックストーンなど複数の米金融サービス企業と提携し、企業向けにAIツールの販売・導入を行う会社を設立。こうしたAI企業の動きは、アクセンチュアやデロイトなど大手が支配する収益性の高いコンサル事業に食い込もうとする野心を反映するとともに、依然としてAI技術の導入と効果的な活用に企業が苦戦していることの表れでもある。

英調査会社オムディア(Omdia)のアナリストは「AI企業は、ある意味で単に『パランティア』のような存在になりたいと決めているようだ」とコメント。AIビッグデータ解析ソフトウエアを手がける米パランティア(Palantir)テクノロジーズは、専門エンジニアを顧客企業に派遣することで、従来のコンサル会社を回避している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「専門のエンジニアを顧客企業に送り込んで、社員のように現場に常駐させながら課題を解いていく、いわゆるフォワード・デプロイド・エンジニア(FDE)──米パランティア・テクノロジーズが広めたこのやり方が、AI時代の新しい定石になりつつある。

OpenAIは買収したTomoro(応用AIに特化したコンサル企業)から150人のエンジニアを引き継ぎ、DeployCoを通じて同じスタイルを一気に拡大していく。先行するアンソロピックはブラックストーンら米金融大手と組み、似た構造の新会社をすでに立ち上げた。

世界のコンサル市場は約3,750億ドル(約59兆円)規模。アクセンチュアやデロイトといった老舗の領域に、AIの作り手たち自身が踏み込んでいく構図が見えてくる。「優れたモデルを作って使用料をいただく」というソフトウェア企業の従来型から、「現場に入り込んで、一緒にAIを動かしていく」やり方へ──ビジネスのかたちが、大きく変わり始めているのかもしれない。」