テイラー・スウィフトは4月24日、米国特許商標庁(USPTO)に3件の商標出願を行った。1月にはマシュー・マコノヒーがAIによる悪用を防ぐことを目的に、同様の法的措置を講じた。

出願したもののうち、2件は彼女の声を対象とした音商標(「Hey, it’s Taylor Swift」「Hey, it’s Taylor」)。3つ目は視覚的な商標で「(背景に紫色の照明が灯るカラフルなマイクの前にあるピンクのステージの上に立った)黒いストラップが付いたピンクのギターを手に持ち、虹色に輝くカラフルなボディスーツとシルバーのブーツを身につけたテイラー・スウィフトの写真」を対象としている。

同出願書類を発見した知的財産(IP)弁護士のジョシュ・ガーベン氏によると、スウィフトの出願は、AIがアーティストの同意なしに、自身の声や肖像を管理する権利を奪う可能性があるという懸念が、エンターテインメント業界で高まっていることを反映しているという。

カリフォルニア州など一部の州では、既に個人の肖像や容貌の無断商用利用を禁止するパブリシティ権に関する法律が制定されている。しかし、商標権侵害訴訟は連邦裁判所に提訴できるため、不正使用に対するより強力な抑止力となり得るとの考えから「自身を商標登録する」戦略が考案された。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「テイラー・スウィフトが自身の声と姿を商標登録するという動きは、AI時代のアーティスト保護が新しい局面に入ったことを物語る。

1月にはマシュー・マコノヒーが代表フレーズ「Alright, alright, alright」と特徴的なテキサス訛りのイントネーションを音響商標として、微笑みなどの表情を「モーション・マーク(動きの商標)」として登録した。ハリウッドのトップ層が連邦商標法(米ではランハム法と呼ばれる)をAI悪用への防波堤として本格活用し始めた段階だ。

米国にはパブリシティ権(人の氏名・肖像・声などの商業的利用を本人が管理する権利)があるが、整備されているのは約35州にとどまり、適用も州裁判所どまりとなる。一方、商標権は連邦法の管轄で全米一律に執行でき、「混同の恐れ」を根拠にプラットフォームへの削除要請も迅速化する。

スウィフトはかつて自身の過去作の原盤権を取り戻すため「Taylor’s Version」として再録音を進めた人物。同じ「自分の価値は自分で管理する」発想の延長で、今度は連邦商標を武器に、自身の声と姿そのものをブランドとして守りに行った形だ。」