Spotifyは4月15日、米国と英国で、同アプリを通じて紙書籍が購入できるようになったと発表した。本好きのためのワンストップショップへの変貌を目指す。

アプリ内のオーディオブックページに表示される「本棚に追加」をクリックすると、提携先の独立系書店オンラインマーケットプレイス「Bookshop.org」のウェブサイトに遷移する。

このほか、オーディオブックと物理的な書籍(または電子書籍)の間をシームレスに行き来できる機能「ページマッチ」が英語だけでなく30以上の言語にも対応開始。ユーザーが聴いた時点までの内容を要約した短い音声を提供し、聴き直しを容易にする機能「オーディオブック・リキャップ」がAndroid端末でも利用できるようになった。また、米国、英国に続き、ドイツでも「オーディオブック・チャート」の提供が始まった。

2月に導入されたページマッチの利用者は、他のリスナーと比較してオーディオブックの再生時間が週平均55%多い。同機能が利用されたオーディオブック作品の62%は、ユーザーがこれまで一度も再生したことのないものだった。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「Spotifyがアプリ内で紙書籍を販売し始めた。音楽、ポッドキャスト、オーディオブック、そして紙の本——「本好きのためのワンストップショップ」という表現は、Spotifyが「音を届けるプラットフォーム」を超えようとしていることを示している。

かつてサイモン&シュスターを傘下に持ちながら売却したパラマウントが自社IP特化の出版部門を新設し、映像制作のIP供給源として書籍の価値を再評価する「映像→書籍」という方向と、Spotifyの「デジタル音声→紙の本」という逆方向からの参入が、同時期に起きていることは興味深い。どちらも書籍というメディアの価値が改めて問われていることを示している。

ページマッチ機能の利用者はオーディオブックの再生時間が55%多く、62%が新規タイトルを発見しているというデータは、「発見から購買まで」をSpotify内で完結させる設計の有効性を示す。Bookshop.orgという独立系書店マーケットプレイスとの提携も示唆的で、Amazonとの真っ向勝負を避けながら書籍エコシステムに参入する現実的な戦略だ。」