世界的に大ヒットしたレイチェル・リードのベストセラー小説を原作とする男性同士のスポーツロマンスドラマ『ヒーテッド・ライバルリー(Heated Rivalry)』が、最終回の放送から1年を経て、米国などで劇場公開されることとなった。

『ヒーテッド・ライバルリー』は、カナダのストリーミングサービス「Crave」向けに製作された作品。2025年11月の放送開始後に瞬く間に人気を獲得し、12月下旬のシーズン1の最終回放送時点で1話当たり平均視聴者数は米国で1,060万人に達し、最終回の視聴者数は初回放送に比べ300%増加した。その人気はナショナルホッケーリーグ(NHL)の注目も集め、リードの著書をTikTok初の公式ベストセラーリストのトップに押し上げた。

米国、英国、オーストラリア、ニュージーランドの650館以上のリーガル・シアターで、11月6〜30日にシーズン1を2話ずつまとめて上映する。『ヒーテッド・ライバルリー』は現在もストリーミング配信されており、映画館側は通常、先行上映権や独占上映期間を求めるものだが、今回はファンの熱狂が収益につながると賭けているようだ。シーズン2の制作も進行している。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「この作品の歩みは、現代のヒットの生まれ方そのものだ。出発点はレイチェル・リードの小説で、TikTokの読書コミュニティ「BookTok」で火が付き、TikTok初の公式ベストセラーリストの首位に。その熱を受けてカナダの配信サービスCraveがドラマ化すると、米国では最終回の視聴者が初回比300%増、1話平均1,060万人という異例の伸びを見せ、題材となったNHLまでもが注目した。そして最終回から1年後、ファンの熱望に応える形で4カ国650館以上での劇場上映に至る。小説、ショート動画、配信、スポーツリーグ、映画館。メディアの壁をファンダムが次々と越えさせた格好で、どの段階でも起点は宣伝ではなくファンの自発的な推し活だった。日本でも「小説発・SNS経由」のヒットは増えているが、その熱を劇場イベントまで運ぶ導線設計は未開拓の部分が多い。参考になる成功例だと思う。」