Xbox Game Studiosがパブリッシングを手掛ける『Sea of Thieves』の実写映画化が進行していることが明らかになった。海外メディアIGN等が報じており、現在Xboxでは10作品以上の映像化プロジェクトが進行しているという。

ゲームの映画化そのものは珍しい話ではない。しかし今回のニュースで注目すべきなのは、『Sea of Thieves』という作品が映像化の対象として選ばれた点である。

『Sea of Thieves』は、Rareが開発した海賊アドベンチャーゲームだ。プレイヤーは海賊船を操り、仲間と協力しながら航海や探索、宝探しを楽しむ。世界観や設定は存在するものの、物語主導型のゲームではない。プレイヤー同士の交流や予測不能な体験こそが本作の魅力であり、ライブサービス型ゲームの代表例として知られている。

従来のゲーム映像化では、『The Last of Us』や『Fallout』のように、もともと強固なストーリーやキャラクターを持つ作品が中心だった。映像作品は物語を語るメディアである以上、原作側にも明確なドラマが存在するほうが適していると考えられてきたからだ。

一方、『Sea of Thieves』は少し事情が異なる。Xbox幹部も取材のなかで、本作の主役はプレイヤーやコミュニティであると説明している。つまり映画化の対象となったのは既存のストーリーではなく、長年にわたって形成されてきた世界観やブランド価値そのものである。

ライブサービス型ゲームは映画になれるのか

近年、ゲーム会社は単にゲームソフトを販売する企業から、知的財産を運営する企業へと変化しつつある。任天堂の映画事業やテーマパーク展開、ソニーの映像事業との連携強化などもその一例だ。ゲームはIPとの最初の接点に過ぎず、その後の映画、ドラマ、アニメ、グッズ、イベントへと展開することで価値を最大化する考え方が広がっている。

その流れのなかで、MicrosoftもまたXboxをゲームブランドから総合エンターテインメントブランドへ発展させようとしているように見える。

実際のところ、映画『マインクラフト/ザ・ムービー』は世界的なヒットを記録し、ドラマ『Fallout』も高い評価を獲得した。こうした成功を受け、Xboxが映像化戦略を加速させること自体は自然な流れと言えるだろう。

もっとも、映像化の拡大には課題もある。

ゲーム原作作品が増え続けるなかで、市場にはすでに”映像化疲れ”を指摘する声も存在する。原作人気だけを頼りに制作された作品は評価を得られず、話題性だけで終わるケースも少なくない。映像化の成功は作品数ではなく、原作への理解や独自の表現をどこまで両立できるかに左右される。

特に『Sea of Thieves』は、プレイヤー自身が物語を生み出す体験型ゲームである。ゲーム内で生まれる偶発的な出会いや裏切り、協力関係といった魅力を映画という受動的なメディアでどのように再現するのかは大きな課題となるだろう。

今後問われるのは、どれだけ多くのゲームを映像化できるかではない。ゲームを起点として築き上げたコミュニティや世界観を、異なるメディアへどう翻訳できるかである。

『Sea of Thieves』の映画化は、その挑戦を象徴する事例として注目されることになりそうだ。