Netflixは9月28日、米国で『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の配信を開始した。その他の地域でも同日に配信を開始したされるが、具体的には明かされていない。

この映画は、親会社であるソニーが北米で配給していたこともあり、多くの人がCrunchyrollが米国における独占配信権を確保していると想定していたため、今回のNetflixの発表は驚きを持って受け止められたようだ。

米国では既に、今年7月28日からCrunchyrollが同作を配信しており、Apple TV、Prime Video、Google Play、YouTube、Fandangoでもデジタル購入が可能となっている。Netflixでの配信開始で、米国内で2つ目の主要なストリーミング配信先を獲得したことで、アニメ専門のCrunchyrollよりもはるかに多くの加入者を抱えるプラットフォームで視聴可能となった。

Netflixは米国に先立ち、日本、中国本土、インドを除くアジア9市場で同作を配信。一方、Crunchyrollは米国、カナダ、英国、オーストラリア、アイルランド、ニュージーランド、およびその他29地域で配信しており、7月にはインドの配信ラインナップにも追加した。

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』は世界興行収入7億9,300万ドル(約1,248億円)以上を記録。米国でも、海外映画として過去最高の興収を上げた。

(文:坂本 泉)

榎本編集長「この配信の妙は、順序にある。『無限城編』は米国で、まず7月にアニメ専門のCrunchyrollへ届き、2カ月後にNetflixへ広がった。デジタル購入も並行して開いている。この段階設計は、観客の層に沿っている。初速を支えるのは、月額を払ってでも最速で観たいアニメファンで、その受け皿がCrunchyroll。続いて、話題は聞くが専門サービスまでは契約しない一般層に、Netflixという巨大な窓が開く。深いファンの熱を収益化してから、広い裾野へ届ける二段ロケットである。興味深いのは、Netflixが米国に先行して、日本・中国・インドを除くアジア9市場で配信済みだった点だ。地域ごとに、どのサービスが「深い場」で、どこが「広い場」かは違う。その地図に合わせ、権利を細かく切り分けて配る運用は、世界興収1,248億円(7億9,300万ドル)の作品だからこそ磨かれた技でもある。日本アニメの海外配信は、独占か開放かの二択から、設計の時代へ入っている。」