6541日。この数字は、オンラインFPS『Alliance of Valiant Arms』(以下、AVA)の運営元G・O・Pが、サービス終了を告げる文面に記した日数だ。同社は2026年8月26日、本作を10月28日で終了すると発表した。2008年12月1日の正式サービス開始からおよそ18年。国内のPC向けオンラインFPSとしては屈指の長寿タイトルが幕を下ろす。

後発から始まった18年

AVAは韓国のRedduckが開発し、日本ではゲームオンがポータル「Pmang」で運営を開始。2023年に事業を承継した現運営元G・O・Pへ引き継がれた。本作の最大の特徴は、韓国産オンラインゲーム初のUnreal Engine 3採用である。基本無料としては群を抜く高精細なグラフィックスが話題を呼んだ。

ただし、その美しさは諸刃の剣だった。元プロデューサーの井上洋一郎氏は2025年2月、要求スペックが高すぎて最新PCでなければ遊べず、広告宣伝費はほぼゼロ、運営3人で立ち上げたとSNSで振り返っている。国内では『スペシャルフォース』や『サドンアタック』が先行し、AVAは完全な後発組だった。

ネットカフェとeスポーツが育てた「日本一」

不利を覆したのは、ネットカフェ攻略と競技シーンへの投資だ。全国を巡るキャラバンに加え、店舗対抗戦「AVAネットカフェ甲子園」も回を重ねた。運営元が後に「日本のネットカフェで最も遊ばれたFPS」と表現するほど浸透した。

ゲーム性も支持を集めた。架空のヨーロッパ戦争を舞台に、突撃役のポイントマン、万能型のライフルマン、狙撃役のスナイパーを組み合わせる3兵種制は、個人の腕前だけでなくチーム戦術を要求した。公式発表では、全盛期は1日あたり7万試合、累計280万人がプレイしたという。

競技シーンはスターも生んだ。国内屈指のストリーマーSHAKAは、公式大会で通算18回優勝した元プロプレイヤーだ。世界大会AICには2013年から4年連続で日本代表として出場し、3度準優勝している。キャリアの出発点は、AVAの戦場だった。

同世代が次々と消えた十数年

2000年代後半、日本には韓国産の基本無料FPSが相次いで上陸した。『スペシャルフォース』『サドンアタック』『ウォーロック』『クロスファイア』、AVAのやや後には『ペーパーマン』。その多くは2010年代に姿を消した。ペーパーマンは2016年12月、ウォーロックは2017年4月、クロスファイアは2018年3月、サドンアタックは2019年9月にサービスを終えた。先行したスペシャルフォースも2016年2月、9年で幕を閉じた。

同時期に上陸した主要な韓国産FPSのうち、国内サービスを2026年まで続けていたのはAVAだけだ。基本無料FPSの一時代を、AVAは最後まで見届けたことになる。

終わりではなく引き継ぎ

とはいえ今回の告知は、単純な撤退ではない。G・O・Pは8月12日、AVAのIPを用いた新作『AVA RE:BIRTH』を2026年秋にリリースすると発表済みだ。

掲げるのは「原点回帰」。AVAらしさの継承、古いPCでも快適に動く軽さ、かつての戦友が再び集う場の構築を柱に据える。旧作の終了は、新作への移行を見据えた地ならしと見るのが自然だ。

近年のAVAは、往年のファン以外にも接点を広げていた。2025年3月にはVTuberグループ「ぶいすぽっ!」の両国国技館イベント「VSPO! SHOWDOWN powered by RAGE」で競技タイトルに採用され、同年6月にはSHAKA主催のレジェンド大会も開かれた。18年分の記憶は、いまも動く資産だ。

9月9日の最終アップデートを経て、10月28日にAVAはサービスを終える。その前後に、新作が立ち上がる。6541日の蓄積をどう受け継ぐのか。本当の評価が下るのはこれからだ。