平日の昼間、ショッピングモールの通路脇に大人たちが滞留している光景を見ることが増えた。大人たちの目的は、昨今ブームのめじるしチャームを含む、新作ガチャガチャ。入荷される時間の法則性を読み、待機していたのだ。

本来、ガチャガチャとは「たまたま見かけたら、やってみる」というイメージが強かったが、販売のスタートと同時に売り切れるものも多く、個数制限も当たり前。いったいなぜそこまで盛り上がっているのか、考察してみた。

「原価率の足枷」を外した、IP(知的財産)の超高速回転

そもそも現在のガチャガチャは「超多品種・小ロット・短サイクル」のファストファッション化が特長。

今までは自社のキャラクターを売るというのがデフォルトだったのに対し、最近はSNSで人気のイラストレーターさんのグッズが商品化されていることも多い印象を受ける。

さらに、異業種IPの掘り起こしも印象的。アニメや人気キャラクターに飽きたらず、ご当地のパンや牛乳といった食品系、学生時代の部活を彷彿とさせるスポーツブランドのアイテムなどロゴや商品をミニチュア化しているのも印象的だ。

完全に考察でしかないものの、企業側にとっては「実費負担なしで幅広い世代への認知拡大になる広告」という意味で、メーカーにとっては「ゼロからキャラを育てるコストやリスクを排した即戦力商品」という、Win-Winの構造ができている気がする。

「今、売れるもの」への圧倒的スピード感、ネットのトレンドやSNSのバズを数ヶ月で商品化するスピード感により、トレンド性が新鮮に保たれているというのもポイントであろう。

デッドスペースが鉱山に「自販機ビジネス」の究極系

また、売り場を作るコストがかからないのも魅力的である。横幅にしてパソコン1台分よりも小さな、極限までムダを削ぎ落とした運営モデルは、ちょっとした空きスペースを売り場に変えるのに向いている。

実際、最近では駅の構内や商業施設の通路、エスカレーター脇など、テナントを入れることは困難なスペースにガチャガチャのマシンを誘致。坪単価の高い一等地に変えている施設も目立っている。

最近は、ガチャガチャ専門店なるものも登場したが、基本は無人販売(カプセル回収や補充のみ)といったビジネスモデルも特長的。人気アイテムの整理券配布や整列の仕切りを除き、接客コストがほぼゼロのため、人手不足の現代において、これほど強いビジネスはないといっても良いのではないだろうか。

「二次流通」まで含めたエコシステム

また、メルカリやXでの交換会が前提の消費というのが、この時代にあっているのかもしれないと感じることも。

これまでは「お目当てのものが当たらなかったら」と気になるものの、購入するに至らない層は多かったが、最近は「ダブっても、フリマアプリで売ればいい」「SNSで『譲・求』の物々交換をすればいい」という層が増えている。

さらに1回300〜500円というガチャガチャの中では、高単価なアイテムであっても、この物価高の時代、小銭だけで購買欲を満たせるのはありがたい。何度も回すのが前提の潮流もできており、心理的ハードルを下げている印象だ。

残念ながら、転売前提で回す層がやや問題になっていたりということもあるが、メーカーや企業からしたら市場が盛り上がっていることは悪いこととは言えないはず。このブーム、いつまで続くかは未知数だが、まだまだ熱は冷めないと思っている。