アカデミー賞受賞監督であるスティーヴン・ソダーバーグ氏は、現在制作を進めている19世紀の米西戦争を題材とした映画で、AIを多用する計画であると、インディペンデント映画専門メディア「フィルムメーカー・マガジン」とのインタビューで明かした。同作は「実に素晴らしい物語」で、主演にはワグネル・モウラが起用されているという。
完成間近のジョン・レノンとオノ・ヨーコのドキュメンタリー制作でもAIを活用しており、「その技術がどのような分野で役立つのか、議論する価値はある」とコメント。AIは現実の空間というよりは夢のような空間を舞台にした、シュールなテーマのイメージを作り出すのに役立っていると説明した。
また、ソダーバーグ監督は「AIに何をすべきかを指示するには文学の博士号が必要なくらいで、本当に楽しい体験だ」と話す一方で、「他のあらゆる技術と同様、AIには人間のきめ細やかな監督がどうしても不可欠だ」と述べている。
(文:坂本 泉)
榎本編集長「スティーヴン・ソダーバーグ監督がAIを使って映画を撮る。『トラフィック』でアカデミー賞を受賞した巨匠が、米西戦争のドラマとジョン・レノン×オノ・ヨーコのドキュメンタリーという異なる二作品でAIを積極的に活用していることは、映像制作の文脈で大きな意味を持つ。
「AIに何をすべきかを指示するには文学の博士号が必要なくらい」という言葉は、AI活用が単純な作業ではなく高度なクリエイティブの判断を要することを示している。
「シュールなテーマのイメージを作り出すのに役立つ」という具体的な用途の説明も重要で、AIを全面的に使うのではなく「人間では難しい表現領域」に絞って活用する姿勢が見える。
「人間のきめ細やかな監督が不可欠」という言葉は、SoraやRunwayが実用段階に入り、VFX産業が再編される今、映像クリエイターが向き合うべき本質的な問いへの答えだ。AIを怖れるより使いこなすことを選んだ巨匠の実践が、業界の議論を前進させる。」














